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コレクティブ・インパクト : 個別の努力を越えて今こそ新しい未来をつくり出す

コレクティブ・インパクト : 個別の努力を越えて今こそ新しい未来をつくり出す

社会を変えるためには「コラボレーション」が必要だ―これは何十年も前から言われてきたことであり、さまざまな形のコラボレーションが模索されてきたが、多くの成果は出ていない。2011年に発表された本論文「コレクティブ・インパクト」は、従来の方法論と異なるコンセプトを提示し、大きなインパクトをもたらすアプローチとして反響を呼んだ。その後、各国でアクションが生まれ、毎年国際カンファレンスも開催されるなど、グローバルな実践と学習が続いている。複雑な問題の解決に向けて、個別の活動をそれぞれ追求するのでもなく、あるいは全員が同じ”集団的”な行動をとるのでもなく、互いの違いを活かしながら、共通の目標に向かって”集合的”なインパクトを生み出す5つの原則とは何か。

※本稿はスタンフォード・ソーシャルイノベーションレビューのベスト論文集『これからの「社会の変え方」を、探しに行こう』からの転載です。

ジョン・カニア John Kania
マーク・クラマー Mark Kramer

米国の公教育システムは、その規模と複雑さのために何十年もの間、改革に失敗してきた。アネンバーグ財団、フォード財団、ピュー慈善信託といった有力な資金提供者が、取り組みに進展がないことを認め、失意のうちにその多くを断念してきた。かつては世界をリードし、第二次世界大戦後には世界一の高校卒業率を誇った米国だが、今では先進工業国24カ国のうち18位となり、毎年100万人以上が中等教育課程*1で中退もしくは進学を断念している。無数の教師、学校運営者、非営利団体による英雄的な努力と何十億ドルもの寄付金によって、個々の学校やクラスの単位では大きな改善があったかもしれない。しかし、システム全体の進歩はほとんど実現していないように思われてきた。

この行き詰まった状況の中、オハイオ州シンシナティで注目すべき例外が生まれつつあるようだ。ナレッジワークス傘下の非営利団体ストライブ・パートナーシップ(StrivePartnership)*2は、シンシナティ広域都市圏からケンタッキー州北部の至るところで、地域のリーダーたちを巻き込んで、生徒の学業成績の危機に立ち向かい、教育を改善してきた。ストライブ設立からの4年間で、同団体のパートナーは3つの大きな公立学区において、数十の重要項目で生徒の達成度を改善している。景気後退や予算削減にもかかわらず、ストライブが追跡する53の成功指標のうち、高校卒業率、4年生の読解力と数学のスコア、義務教育を受ける準備のできた未就学児の数など、34の指標でポジティブな傾向が見られたのである。

多くの取り組みが失敗するなか、ストライブはなぜ成果をあげてきたのだろうか。それはコミュニティのリーダーから成る中心グループが、それぞれのアジェンダ*3を手放し、生徒の学業成績を向上させるための集合的〈コレクティブ〉なアプローチを取ることを決意したからだ。影響力のある民間財団や企業財団のトップ、自治体の担当者、学区の代表、8つの大学とコミュニティ・カレッジの学長、教育関連の数百のNPOやアドボカシー団体の代表者など、地元組織のリーダー300人以上が参加に同意した。

これらのリーダーたちは、たとえ一連の教育領域のある一点を修正しても(たとえば放課後プログラムを改良する)、すべての領域が一斉に改善されなければ大した違いを生まないことを理解していた。どんなに革新的、あるいは強力な組織でも、これを単独で成し遂げることはできない。集まったリーダーたちは、若者たちの人生の”あらゆる段階”で、つまり「ゆりかごから就職まで」を連携しながら改善するという、野心的なミッションを定めたのである。

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