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デザイン思考は期待外れだったのか

デザイン思考は期待外れだったのか

デザイン思考は、世界の複雑な社会的課題を解決できると期待されたが、それに十分に応えてきたとはいえない。デザインに批判的に向き合うことで、デザイナーは自分たちの方法論の有効性を証明するためではなく、コミュニティのために働くことができるようになる。

アンヌ=ロール・フェイヤード  Anne-Laure Fayard
サラ・ファサラー Sarah Fathallah

非営利団体、政府、そして国際機関は、複雑な社会的課題に対して革新的な解決策を開発するにあたって、しばしばデザイン思考を活用している。特定の人たちの「ために」ではなく、その人たちも含めた他者と「ともに」行う取り組みにおいてとりわけその傾向が強い。デザイン思考は、デザイナーのナイジェル・クロスによって40年以上前に概念化され、1982年に専門誌Design Studiesに掲載された「デザイナー的知識の方法(Designerly Ways of Knowing)」で注目を集めた。このアプローチは後に、グローバルなデザイン・イノベーションコンサルティング会社IDEOによって誰にでも使いやすいようにパッケージ化され、瞬く間に営利企業の間で使えるイノベーションツールキットとしての地位を確立した。コミュニティの人々を中心に据えることを重視した協働的なデザインプロセスは、国際開発の分野やソーシャルセクターの人々にも受け入れられた。

当時IDEOのCEOであったティム・ブラウンと、IDEOのソーシャルイノベーショングループ(のちのIDEO.org)のリーダーであったジョスリン・ワイアットは、2010年のStanford Social Innovationの記事「デザイン思考×ソーシャルイノベーション1」で、ソーシャルセクターでデザイン思考を活用することを提言した(この記事はソーシャルセクターにおけるデザイン思考の重要な文献となっている)。ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同創設者のメリンダ・ゲイツやアキュメン(Acumen)創設者兼CEOのジャクリーン・ノヴォグラッツなどの著名な慈善家たちにも支持されたデザイン思考に人々が飛びついたのは、この手法を使えば大きな社会的変化をもたらすことができると考えたからだった。ブラウンはさらに、2014年のハーバード・ビジネス・レビューの記事で、デザイン思考は民主的な資本主義を推し進めることを可能にすると主張した。

しかし、デザイン思考はそのような期待に応えることができていない。2023年のMITテクノロジーレビューの記事2で、ライター兼デザイナーのレベッカ・アッカーマンは、「デザイン思考は世界の問題を解決するはずだった」が、組織がデザイン思考プロセスから生み出されたアイデアを実装することはほとんどないと指摘した。アイデアが実装されない原因は、問題への理解不足、もしくは組織的・文化的文脈の複雑さへの理解不足、あるいはその両方であるという。アッカーマンが挙げた例の1つに、サンフランシスコ統一学区(SFUSD)が2013年にIDEOに依頼し、学区のカフェテリアを再設計したケースがある。5カ月のデザイン思考プロセスの結果、共同キッチンの創設や技術を使用してカフェテリアの列を減らすなど、10の提案が出された。しかしSFUSDがIDEOからの提案を受け、その実行を委託したコンサルタントのアンジェラ・マッキーブラウンは、IDEOは提言を実行するための手続きや規制への対応を考慮に入れていなかったとアッカーマンの記事の中で語っている。

私たち本稿の著者は、デザイン思考は社会問題を解決するための唯一のツールではないと考えている。それはなぜか。以下、一般的に行われているデザイン思考が、複雑な社会問題に対して効果のある持続可能な解決策を生み出すことができなかった理由を説明しよう。そのうえで、私たちはデザインに対して「批判的(クリティカル)」に向き合おうと言いたい。ここでいう「批判的」とは、深い洞察を伴った、意義のある、という意味である。デザイナーが持つべきは、思想家/活動家のアンジェラ・デイビスが「私たちが常に批判的・意識的であることを求める、考え方や生き方」と呼んだような、継続的な内省と探究の精神だ。

批判的デザイン思考は、関係性を重視し、内省的で、政治的にコミットするという一連の価値観とコミットメントに基づいている。こうした姿勢は、デザイン思考を実践する際の原則となる。こうしたものがあれば、デザイン思考が、どんなふうに、いつ、誰によって使用されるべきかを実践者に委ねることができる。以下では、ソーシャルセクターの事例を使って、批判的デザイン思考をどのように実践できるのかを具体的に説明する。

還元的思考

ソーシャルセクターは、さまざまな文脈、時間軸、政治的現実にまたがる多くのアクターで構成されているため、本質的に複雑である。このような複雑さを単純な要素に還元して解決しようとするアプローチは、効果を出せない可能性が高い。デザイン思考には、少なくとも3つの単純化の落とし穴がある。

.公式化されたデザイン思考

デザイン思考は一般的に、一連のステップ、標準化されたテンプレート、プロセスを提供する唯一のツールキットとして紹介され、それらに従い、複製し、コンサルティングモデルにすることができる。

デザイン思考は一般的に、一連のステップ、標準化されたテンプレートを含む専用のツールキット、及び実践・再現可能なモデルに変換可能なプロセスとして提示される。それぞれのステップ数と呼び方は違っても、目指していることは同じである。それは、デザイナーと非デザイナーに問題を解決するための簡単に従える段階的な公式を提供することだ。このプロセスには通常、問題の調査と定義のための一連の活動が含まれ、それに続いてアイデアの発案、プロトタイプの作成、実装前の反復的なテストが行われる。デザイン思考は、これらの活動に対する好奇心、前向きさ、新しいことに対する柔軟性などを育むことを後押しする。

デザイン思考は誰にでも使える公式という側面があるので、簡単に使えそうに見える。私たちが過去12年間、社会部門で研究者、デザイナー、教育者として働いてきた経験からいえば、多くの組織が複雑な問題に迅速な解決策をもたらすことを期待して、デザイン思考の見た目の単純さに魅かれがちだ。たとえば、一部の組織は、健康・医療サービスへのアクセスや性差別のような多世代にわたる課題に対して、デザイン思考を使えば数カ月で解決策を生み出せると考える。デザイン思考を誰でもすぐ使えるようなかたちにパッケージ化することは、実践に必要な組織文化と能力の重要性を軽視することになりかねない。リスクを取ることを避ける文化を持つ組織や強い階層構造を維持する組織、または新しいアイデアのづくりをコンサルタントに任せるような組織は、実験、協働、そしてアイデア生成プロセスの核として利益の受益者を中心に置く人間中心のアプローチが苦手である。しかしこれらはすべて、デザイン思考アプローチの重要な要素なのだ。

2.脱コンテクスト化されたデザイン思考

デザイン思考は対象となる問題の文脈(コンテクスト)に敏感であると主唱者たちは標榜しているが、コミュニティや歴史の文脈についての体系的で構造的な理解が不在のまま取り組みが進むこともある。文脈から切り離された問題解決のアプローチは、システムの不具合を、個別の失敗事例と認識することにより、コミュニティや環境に意図しない害を及ぼす可能性がある。問題を文脈から切り離すことにより、デザイン思考が客観的で無政治的なアプローチであるという「神話」が助長されることにもつながる。この虚構の中でデザイナーは自分自身をデザインプロジェクトにおける中立的なエージェントとして捉えている。しかし、デザイナーは中立的ではなく、バイアスや思い込みによる価値観や世界観に影響をうけながら仕事をしている。デザインミュージアムマガジン(Design Museum Magazine)の警察をテーマにした特別号の記事3、共著者のサラ・ファタラは、デザイナーが警察と協力したデザイン思考プロジェクトを分析することで、脱コンテクスト化されたアプローチの限界を示した【注1】。分析対象となったプロジェクトは、コミュニティ会議の開催、警察車両同乗体験、仮想現実ツールの使用などを通じて、警察官の仕事に対する理解を深め、コミュニティにおける警察への信頼を高めることを目指していた。提案されたすべての解決策は、コミュニティが警察に対して不信を抱くのは、彼らの仕事に対する共感の欠如や無知によるものであることを前提としたものだった。しかし、より包括的な分析を行えば、警察というシステム全体の機能不全が明らかになり、そこからコミュニティにおける警察不信の深さが「警察の現在および歴史的に行ってきた現実、たとえば日常的な暴力、差別、貧困の犯罪化、性的嫌がらせと暴行」に根差していることがわかるだろう、とファタラは指摘している。

2015年から2017年にかけてイギリスとインドで行われた研究プロジェクト「メイクライト・イニシアティブ(Makeright Initiative)4」は、コンテクストを無視したデザイン思考の限界を示している。このイニシアティブでは、イギリスの85人とインドの25人の刑務所受刑者がワークショップに参加し、デザイン思考プロジェクトの一環として防犯バッグの製作方法を学んだ。ロンドンのセントラル・セント・マーチンズのデザイン教授であるロレイン・ガマンとアダム・ソープによれば、このコースは受刑者に共感、協働、問題解決のためのスキルを身に付ける機会を提供することを目的としていた。2018年のShe Ji誌の記事で、ガマンとソープは、これらのスキルを学ぶことが「将来、受刑者に自営の道を拓くかもしれない」とし、また彼らの「社会参加を改善し、社会復帰を容易にする」と主張している【注2】。しかし、社会的統合と再犯防止を受刑者個人の成長の問題として扱うことで、ガマンとソープは、その個人が投獄されるに至った根本的原因を見逃している。また、犯罪歴が雇用や住まいなどの基本的ニーズへのアクセスの妨げになるような構造的な障壁も看過している。さらに、このプロジェクトのデザイナーたちは、犯罪は個人の誤った選択の結果生じるものだと捉え、特定のグループを標的にした一連の政治的選択の結果であることを認識していない。

3.短期主義なデザイン思考

デザイン思考プロジェクトは通常、コンサルティング会社が短期間のプロジェクトとして提案するものであり、実装までは含まない。コンサルティングモデルの活用は、ソーシャルセクター、国際開発セクターのプロジェクトベースの資金提供のサイクルの下では合理的で効率的である。著書『ソーシャルイノベーションのためのデザイン(Design for Social Innovation, 未訳)』で、デザイナーであり教育者のマリアナ・アマトゥーロ、ブライアン・ボイヤー、ジェニファー・メイ、アンドリュー・シェイらは、6大陸の複数のセクターで45のデザインプロジェクトを調査し、ソーシャルイノベーションのためのデザインを成功させるために必要な文化的、経済的、組織的な条件を特定した。彼らは、デザイン思考の長期的な影響は、スピード重視と複雑なシステムへの不充分な理解を含む複数の要因によって左右されることを発見した。たとえば、IDEO.orgのディーバ・センターズ・プロジェクトでは、ザンビアのネイルサロンで10代の若者がリプロダクティブヘルスと避妊アクセスについて学んだが、公衆衛生の資金調達とその手段の複雑さのために規模を拡大することができなかった。IDEOとIDEO.orgのリーダーであるジョセリン・ワイアット、ティム・ブラウン、ショーナ・キャリーは、2021年のスタンフォード・ソーシャル・イノベーション・レビューの記事「システム変革を加速するためにはデザイン思考の進化が必要だ5で、このプロジェクトについて振り返り、複数の公共および民間のサービス提供者と、複雑な公衆衛生資金の層を考慮に入れなかったため、プロジェクトの規模拡大が「法外に高価で複雑」になったことを認めた【注3】

イノベーションを加速させたいという願望が、デザイン思考を多用するハッカソンやオープン・イノベーション・チャレンジのような期間限定イベントの増加につながっている。こうしたイベントはアイデア出しに重点を置いていて、そのアイデアをどうするかについては二の次だ。たとえばこの記事の著者の1人であるアンヌ=ロール・フェイヤードは、2023年にOrganization Science誌に発表した研究で、ハッカソンやオープン・イノベーション・チャレンジが新しいアイデアの創造には成功しているものの、プロトタイピングや実装には成功していないことを指摘した【注4】。主催者やスポンサーは、イベント終了後に個人またはチームをどのようにサポートできるかを考え、イベントで生まれたアイデアのプロトタイピングと実装を促進し、長期的な影響をもたらすことを考えるべきだ。同様に、ソーシャルセクターで活動するデザイナーや実践者は、彼らの仕事に対する価値観に基づいてタイムラインを設定すべきだ。具体的にはコミュニティとの関係構築や信頼構築に時間を割く、またはコミュニティのメンバーが自分たちの優先事項や目標とプロジェクトをすり合わせる方法やタイミングを決めるまで待つ、といったことである。

批判的デザイン思考を受け入れる

ソーシャルイノベーションの課題は複雑であり、それらに対処する方法も一筋縄ではいかない。デザイナーは単一のツールに依拠するデザイン思考を捨て、他のステークホルダーとともにより繊細かつ持続的な方法でデザインを使用する批判的デザイン思考を取り入れるべきだ。

批判的デザイン思考は、コミュニティやシステムに深く組み込まれ、それらとのやりとりを重視するデザインの伝統や、それを支えてきた多くの思想家たちの系譜につらなるものだ。『誰もがデザインする時代のデザイン(Design, When Everybody Designs, 未訳)』において、デザイン学者のエツィオ・マンズィーニは、デザインを非デザイナーに開放し、デザイナーたちはコミュニティのなかで会話のファシリテーターやリソースの仲介者になるよう提唱している。たとえば、高齢化する人口問題に取り組むデザイナーたちであれば、高齢者のニーズと能力を見出し、彼らを変化のエージェントとして招き入れ、必要とされるサービスを共創することができるとマンツィーニは言う。結局この取り組みは、高齢者をデザインプロセスに含めたことにより、ミラノの非営利団体「メグリオ・ミラノ(Meglio Milano)の「テイク・ミー・ホーム(Take Me Home)」プログラムのような異世代間のホームシェアリングプログラムの創造につながった。これによって、高齢者と学生の双方が生活費を削減し、社会的孤立を軽減することができている。

デザイナーがコミュニティに課題を解決するためのリソースと環境を提供することでコミュニティの人々が自ら解決策を見出す能力を持つようになることを、人類学者アルトゥーロ・エスコバーは「デザインの方向転換(リオリエンテーション)」と呼んでいる【注5】。自身もデザイナーのサーシャ・コスタンザ・チョックが主張するように、デザイナーがコミュニティや社会運動に奉仕し、善意以上のものを届けるには、コミュニティに対して責任をとらなくてはならない【注6】。多くの思想家がデザインを実践するうえでの方向転換を呼びかけているように、私たちは本稿の読者に対して、批判的デザイン思考を展開していくにあたって、関係性、内省、政治的コミットメントという3つの価値を考慮するよう呼びかけたい。

1.関係性

先住民族の教えでは、人間、動物、自然環境を含むすべての生命体は、互いに関連しながら存在し、規定されている。先住民や脱植民地主義に基づくデザイン手法を用いる研究者やデザイナーたちは、このような伝統的な見方を通して、知識を持つ者(「専門家」)と持たない者、主体と対象、人間と非人間という西洋の区分に疑問を投げかけている。デザインの分野において、関係性に重きを置く考え方は、問いかけ、思い描き、創り出すといったデザインの基本的な活動が、専門家だけのものではないと認めることにほかならない。関係性からものを見るということは、誰の持つ知識、技能、知恵が採用されるのか、排除されるのか、歪められるのか、あるいは誤解され、無視され、過小評価され、疑われるのかを問うことを意味している。さらに重要なのは、デザイナーが聞き手であり、ファシリテーターとしての役割を担い、コミュニティメンバーとの相互尊重の立場からデザイン思考プロセスに取り組むことが求められるという点だ。

2.内省

デザイナーの個人的な信念や社会的・文化的背景は、彼らが仕事のなかでコミュニティやデザインプロセスにどう関わるかに影響を与える。自分のアイデンティティ、視点、思い込みに気づき、それを検証する能力、すなわち内省によって、デザイナーが中立であるという神話に疑問を投げかけ、デザイナー自身の社会的・文化的な立場を認識し、自らの仕事に対して責任を持つことが可能となる。こうした批判的な意識を育むためには、内省を、数回のイベントやチェックインで終わらない、あらゆる種類の問いかけを通じた継続的で段階的なプロセスと捉えることが必要だ。たとえば、デザイン研究者ハジラ・カジは、『パワーと参加:不平等なパワーダイナミクスを変えるための参加型デザイン実践ガイドブック(Power and Participation: A Guidebook to Shift Unequal Power Dynamics in Participatory Design Practice)』で、異なる力関係のなかで、自分の社会的・文化的立場がどのように機能し、ときとして利益相反を生み出す可能性があるかを考えてみるように呼び掛けている。

3.政治的コミットメント

デザインは常に政治的アジェンダの中に置かれている。デザインの政治的役割に無自覚なデザイナーは現状維持に加担することになる。政治的にコミットすることは、作品とそれに携わる人々の政治的立場を明らかにすることを意味しており、それを「客観性」や「中立性」という幻想の背後に隠すことではない。また、政治的にコミットすることは、コミュニティや社会運動の目標と一致する一連の政治的目標を支持する態度でもありうる。

デザインは昔から政治との関わりを持ってきた。1960年代のスカンジナビアのデザインスクールは、職場環境の改善と職場の民主主義へのコミットメントに国民を巻き込むという政治的使命に基づいて設立された。この政治的志向は、持続可能性や正義に焦点を当て、脱植民地化、反資本主義、廃止運動などの特定のリベラルな政治プロジェクトにデザインという角度から取り組んだデザイナーたちによって引き継がれた【注7】

批判的に考えるということ

批判的デザイン思考は単なる方法論ではない。特定のデザインプロジェクトのアプローチと成果を規定するものではなく、どのアプローチを採用するかを見極めるための情報を提供してくれるものだ。次に紹介する事例では、参加、報酬、規模、影響、資金調達などのデザイン上の決定をより批判的に行うことを試みている。ただし、これらは普遍的な大原則として解釈されるべきではない。なぜなら、批判的デザイン思考は、デザイナーが特定の文脈や状況に応じて選択を行うことを可能にするものでもあるからだ。

1.コミュニティの参加について批判的に考える

関係性を重視したいデザイナーは、コミュニティメンバーをデザインプロセスに招きたいと考えるものだ。この場合よくある問題点は、コミュニティメンバーを参加者として巻き込むことの潜在的な弊害を分析してそれを取り除く準備をせずに進めてしまうことだ。自分たちのつらい体験を何度も語るよう求められる一方で、その話を聞かせてほしいと言ってきた組織が意味のある変化をもたらさらない場合、コミュニティメンバーの参加は、彼らにとって形式的で、搾取的で、精神的な苦痛をもたらしかねない。アクションにつながらない、参加のための参加は、コミュニティの人々の経験や知恵を軽視するもので、 ストレスやトラウマにつながる。

コミュニティメンバーは、デザインのプロセスに参加する際、さまざまなコストを負担する。育児や仕事に費やす時間を割いて協力しても金銭的な補償や報酬がないこともある。コミュニティメンバーが自分たちの経験やアイデアを共有する場合、その情報がどのように使われるのか知らされないこともある。彼らはデザイナーや専門家との交流のなかで、専門的なスキルを教わることはない。潜在的な弊害ということでいえば、プロセスに参加すること自体が感情的な負担になることがある。コミュニティメンバーが意義と責任のあるかたちで関与するためには、デザイナーは参加者から提供される時間や専門知識に対する報酬を支払う、他では得られないような学習の機会や方法を提供する、専門知識に基づいたトラウマ対策を用意する、といったかたちで、参加者のコストを補償すべきである【注8】

参加型のデザインプロジェクトを標榜しながら、コミュニティのメンバーが意味のあるかたちで関わり、意思決定に影響を与えることができないものもある。デザイナーのビクター・ウドエワは、ワシントンDCの公立学校区と連携する非営利団体から、高校生のための国際的な夏期学習プログラムのカリキュラムを再設計する依頼を受けた。このプロジェクトでは、コミュニティのメンバーがデザインプロセスのすべての段階に参加するという革新的なやり方を採用した。チームには2人のデザイナーとプログラムの学生4人が含まれていた。しかし、ウドエワがJournal of Awareness-Based Systems Changeに書いたように、非営利団体が学生の決定を拒否したため、プロジェクトは失敗した。学生たちは参加する機会は与えられたが、どの解決策を採用するかの決定権は彼らになかったため、このプロセスに対して失望したのである。

コミュニティメンバーのデザインプロセスへの参加は、権力の不均衡によっても阻害される。批判的デザイン思考は、デザイナーに、コミュニティメンバーからのインプットを得ようとするだけでなく、自分たち自身の役割、そして各アクターの関係性を深いレベルで問い直すことを求める。このようなコミットメントは、参加者に生じ得る弊害を理解し、それに対処するために不可欠である。プロセスにおいて実質的な権力を持つ人は誰かを検証するために、インパクト投資家のシカゴビヨンドは、コミュニティ組織、研究者、資金提供者に対して、以下のような点について考慮することを促している:誰がプロセスを決定するか。誰が人や情報にアクセスできるか。誰がアイデアを評価するか。誰がそのアイデアに対する所有権を持つか。誰がコミュニティに対して責任を持つか【注9】

2.問題について批判的に考える

デザイン思考のプロセスにおいては通常、プロジェクトを主導する組織やそこに関わるプロのデザイナーが問題を定義する。しかし問題を直接経験していない外部の人間がその問題の粒度、妥当性、相対的な重要性を判断する場合、何らかの仮定や前提を持ち出さざるを得ない。プロセスの初期に、こうした仮定や前提に疑問を呈する人がいなければ、それ以降のプロレスがコミュニティにとって意味のないものになる可能性がある。最悪の場合、そのことがコミュニティに悪い影響をもたらすことも考えられる。

そのような事態を回避する方法の1つは、対象となっている問題に最も影響を受けている人々が、自分たちの言葉で問題を定義するよう促すことだ。たとえば、ファタラ―がかかわった国際救援委員会(International Rescue Committee, IRC6)のプログラム、マハリ・ラボは、シリアの難民や生活を脅かされているヨルダン人を対象に、コミュニティの課題に対する解決策を考える機会を設けた。ラボの基本的な考え方はシンプルだ。プロセスの各段階における決定はすべてコミュニティ主導で行われた。2017年から2018年の18カ月間にわたり、このラボは参加者に共同作業スペース、財政支援、そして彼らのアイデアを強化するためのメンターや専門家へのアクセスを含む支援を提供した。

その後、IRCは、コミュニティのメンバーや専門家によって最も有望と見なされたアイデアを拡大するための資金とサポートを提供した。特筆すべきはラボがコミュニティのメンバーが自分たちのコミュニティの最も切実な問題を定義するための3カ月にわたる作業から始めたことだ。まず、コミュニティのリーダーであり、ヨルダンの都市部難民が多いアンマン、イルビド、マフラクの3つの地域にネットワークを持つ仲介役を見つけ、その後、コミュニティメンバーとの自由形式のインタビュー及び座談会が複数回行われた。最初のインタビューは、仲介役によってコミュニティのメンバーの自宅で1対1のかたちで行われ、その後、マハリ・ラボの他のチームメンバーを交えたより大規模な座談会形式のインタビューが開かれた。コミュニティのメンバーが特定した問題はチームによって統合され、対面およびオンライン(ヨルダン在住のシリア人が参加するWhatsAppやFacebookのグループを通じて)で、内容の検証と優先順位付けのためにコミュニティに提示された。そこからのフィードバックに基づき、マハリ・ラボはコミュニティが最も切実だと感じている、収入源の確保、サポートサービス、児童教育に活動内容を絞り込んだ。

3.イノベーションについて批判的に考える

デザイン思考プロジェクトでプロトタイプやパイロットのためのアイデアを選ぶ段になると往々にして目新しさやユニークさが重視される。しかしイノベーションを新規性とはき違えると、新しさはないが使えるアイデアより、新しく見えるだけのアイデアを評価することにもなってしまう。批判的デザイン思考においては、新規性を重視することが組織の目的にかなっているのかを問い直すことが求められる。また、デザイナーが自由に創造性を発揮することがコミュニティのニーズや願望をかなえることより優先されていないかどうかも問うべきである。新しいサービスや製品がなくてもインパクトを出すことは可能だ。

インパクトは必ずしも新しいサービスや製品の開発を必要とするわけではなく、コミュニティの取り組みを支援するためのリソースを有効活用することで生まれることもある。2009年、エンジン・サービス・デザインは、ロンドンのサザーク自治区と市民と協力して、健康や家庭環境に関連する問題に対する解決策を模索した。サザーク自治区のチームは、住民が新しいサービスやテクノロジーの提供を望んでいると考えていたが、住民のアイデアのなかには、すでにアクセス可能なコミュニティの専門家やリソースを活用するというものも含まれていた。たとえば、サザーク自治区の多くのスペースや建物を、食事やスポーツのようなコミュニティ形成の活動に使用するというアイデアがあった。また、地元の食品や健康の専門家に健康的な家庭料理の作り方を指導してもらうというアイデアもあった。どちらの例でも、コミュニティメンバーは新奇さではなく、コミュニティの目標を達成するために既存のリソースへのアクセスを望んでいた【注10】

4.コミュニティへのアカウンタビリティについて批判的に考える

デザイナーがコミュニティに対して自分の役割を説明し、結果に責任をとろうとする場合、業界の利害関係者には人気がない政治的な目標を受け入れる必要があるかもしれない。2021年、児童福祉関連の非営利団体、シンク・オブ・アス(Think of Us)7は、グループホームや孤児院などの養護施設の若者の経験を分析するデザインリサーチプロジェクトを行った。調査から、施設での養育に関する問題点が明らかになった。調査対象となった若者たちは、身体的に拘束され虐待されたり、向精神薬の服用を強制されたり、友人や家族との連絡が禁止されたりするなど、罰則的でトラウマとなり得る有害な経験をしていた。この結果を受けてシンク・オブ・アスのチームは、施設での若者の経験を改善するために、よりよいベッドを用意する、より頻繁に外出許可を出すといった、現状の改善策を解決策あえて出さなかった。チームは研究結果をまとめた報告書で「こうした改善の一部はより暮らしやすい環境づくりにつながるかもしれないが、施設から出た後の若者の物質的な豊かさや、人生の成功につながることはないだろう」と指摘し、施設そのものを廃止することを提案した【注11】。この提案の内容は、養護施設の収容数削減または制度そのものの終了を求めるコミュニティの強い声を反映したものだ。養護施設に子どもを預けた母親や家族、養護施設出身の青少年団体、障害者正義運動の支援者などは、養護施設という制度そのものに反対していた。一部のメディアからの反発にもかかわらず、この調査の結果をふまえて養護施設の削減または廃止に取り組むことを表明する自治体も出てきており、現在そのプロセスのデザイン、検証、実装が行われている。

5.スケールとインパクトについて批判的に考える。

非営利団体や社会起業家は、インパクトを拡大(スケール)できることを潜在的な資金提供者に示さなくてはらない。このスケールの考え方は資本主義の論理に根ざすものだ。つまり、テクノロジープラットフォームがユーザー増加を目指すのと同じ方法で、ソーシャルサービスの受益者を増やしていくという考え方である。しかし、批判的デザイン思考では、スケールを受益者の増加と同一視すべきかを問い直す。ソーシャルサービスの分野では、受益者を増やすよりも、現受益者に対するサービスを拡充することこそインパクトを生むのではないか。非営利団体や社会起業家との会話では、彼らはスケールを強く意識しており、受益者の生活を改善することによるインパクトよりも、数字でインパクトを示すことへのプレッシャーを生んでいることがわかった。

インパクトを数字以外の方法で示すことを選んだ組織の一つが、インドネシアで女性が経営者する小規模企業のピアツーピア貸付プラットフォームを運営するアマルタ(Amartha)8だ。2010年に西ジャワのボゴールの小さな村で一般的なマイクロファイナンス企業として創業し、最初の5年間はポートフォリオの質を高めるために既存の顧客との関係を深めることに焦点を当てた。この期間中、アマルタの創設者アンディ・タウファン・ガルダ・プトラは、既存顧客である女性の借り手だけでなく彼らの家族にもサービスを提供できることに気づいたが、設立間もない組織で貸出余力がなく、融資需要に応えるのに苦労していた。 アマルタの顧客維持率は90%で、多くの借り手が追加の融資を求めていた。そこでプトラは、インドネシアの他の地域にサービスを拡大する前に、アマルタがすでにサービスを提供していた女性たちに教育などの包括的なサービスを提供することにした。彼はより多くの個人投資家や銀行を呼び込む市場モデルを探求し、最終的に2016年にアマルタをピアツーピア貸付プラットフォームに変えた。その後、インドネシアの他の地域にも進出した。アマルタは、受益者の数を増やすことでインパクトを広げるよりも、一地域のコミュニティに対して手厚いサービスを提供することにより、インパクトを深めることを選んだのである。

6.資金調達とタイムラインについて批判的に考える

支援先を評価する際、資金提供者は通常、成功を直線的な成長と定義した評価基準を用いる。これはデザイン思考のパイロット・プロジェクトや介入についても同様だ。一方、国際開発やソーシャルセクターにおけるデザインプロジェクトでは、成功を人々の成長や発育、行動上の変化、ならびに長期的な社会的変化の観点から評価する。ノーサンブリア大学の教授であるジョイス・イーは、デザイン思考をソーシャルイノベーションに取り入れている実務家たちが、資金提供者が示したコストベースの効率性、数値に基づく評価基準に違和感を持っていることを突き止めた【注12】。彼女は、評価を成功の厳格な尺度としてではなく、受益者とともにプロジェクトの成果を再定義し、共創につなげるような学習の機会として捉えることを提唱した。これは資金提供者にとってはあらかじめ決められた成果に縛られない、より柔軟な資金提供を意味し、実務者にとっては、評価報告の負担が軽減され、変化する状況への迅速な対応が可能になることを意味する。

ソーシャルセクターおよび国際開発援助におけるプログラム主義的な資金の構造は、コミュニティの持続的な参加を難しくしている。批判的デザイン哲学は、コミュニティとの仕事において信頼と関係構築の必要性を重視する。たとえば、ダルバーグ・デザイン(Dalberg Design)とプロジェクト・コンサーン・インターナショナル・インディア(Project Concern International India)は、家族計画と栄養改善への男性の参加を増やすために2つのプログラムに参加した。これらのプロジェクトは2020年1月に始まり、2年以上続いた。東インドのビハール州で2000世帯を対象に行われたパイロットプログラムは、子どもたちの食事の多様性、現代的な避妊具の使用、そして子どもへの食事の準備や世話など普段は女性が行う仕事への男性の参加が増えたことが潜在的なインパクトとして示された。

ダルバーグ・デザインの共同創設者ロバート・ファブリカントは、このプログラムを通じて「地域に密着した組織との長期的なパートナーシップを確立することが不可欠である」ことを認識したが、「小さなチームと限られた資源でそうした組織とのパートナーシップを維持するのは簡単ではない」とも指摘した。地域の人々の持続的な参加と信頼を得るには多大な資源が必要であり、多くの非営利団体はそうした資源を持っていない。

批判的デザイン思考の練習

デザイン思考への批判は新しいものではなく、システムデザイン思考9など、Stanford Social Innovation Reviewに掲載されたものも含めて、いくつかの代替案が提案されている【注13】。これらの代替案は私たちと似たような視点に基づいており、その実践には新規の、または補足的なツールが必要だと主張している。私たちはそうしたものの代わりに、批判的デザイン思考を実践し、そのプロセスの目的、行動、影響について、深く考え、慎重に取り組むことをすすめたい。そのための準備として、以下に問いと推奨事項を用意した。

●プロジェクトには誰が関わっていて、どのような役割で参加しているか?

• プロジェクトにおける望ましい参加のあり方を定義し、コミュニティがプロセスにどのように関わり、参加しているかを明確にしよう。

• デザイナーが中立的な存在であるという「神話」を捨て、不平等な力関係を認識し、それを解消するよう努めてみよう。あなた自身の立場、思い込み、バイアスがプロジェクトやコミュニティとの関係にどのように影響を与えるかを考えてみよう。

• コミュニティの人々がプロジェクトに参加することによる負担を理解し、彼らに与えかねない害を最小限に抑える、トラウマに配慮した実践を心がけよう。

• 自分が関わるコミュニティの生活環境を改善するよう努めてみよう。参加するすべての人が公平に報酬を受け取ることを確実にするための予算の確保も必要だ。

●プロジェクトの枠組みと範囲を誰が決めるべきか?

• すべてのステークホルダー、特にコミュニティのメンバーがプロジェクトの枠組みと範囲を決定する際に関与するようにし、彼らの参加を確実にするために必要な時間を確保しよう。

●どの成果を優先するべきか?

•プロジェクトが イノベーションのためのイノベーションになっていないことを確認しよう。新規性がなくてもコミュニティにとって効果的な成果につながることが重要である。

●誰に対して責任を負うのか?

• プロジェクトに関わる当事者やステークホルダーを調査し、それぞれの動機や期待を理解しよう。プロジェクトが最も疎外された人々にとって有害なシステムを正当化することがないかを見極める必要もある。

• プロジェクトがコミュニティの目標と合致していない場合、追求すべきでない方向に進もうとする可能性がある。コミュニティの目標に合致していない成果を目指すことがないよう、アカウンタビリティを果たす措置を構築しよう。

●プロジェクトのインパクトはどのように測定されるべきか?

• プロジェクトにおける成功を定義する際、インパクトを地理的に広げるというスケールアップの考え方とインパクトを質的に深めるという考え方をバランスさせよう。インパクトとスケールの定義を見直し、それに沿ったかたちでリソースを配分しよう。

●持続可能な影響を支えるために、どのような資金調達方法とスケジュールが適しているか?

•プロジェクトの進行状況に合わせて終了期限をより柔軟に設定できるような資金調達と事業計画を考えてみよう。それによって変化に迅速かつ適切に対応することが可能になる。

• コミュニティとの関係を深めるためにリソースを使おう。地域で活動している団体を見つけて協力し、関係構築と信頼形成のための時間をプロジェクトのスケジュールに盛り込んでみよう。プロジェクトが終わっても継続する長期的なパートナーシップの構築に力を入れよう。

批判的デザイン思考をさらに深く追求するには、コミュニティ主導で、抑圧に立ち向かい、自由を促進するデザインの実践や運動――正義を追求するデザイン、植民地主義からの解放を目指すデザイン、多元世界的で包摂的なデザインなどの視点を仕事の中心に取り入れていくことが望ましい【注14】。批判的志向の実践者のみなさんには、ツールをどう使うか、方法論をいかに実践するかというだけでなく、自分の仕事やコミュニティに対するコミットメントの土台となる価値観と向かい合ってほしいと考えている。

【翻訳】中嶋愛
【原題】Design Thinking Misses the Mark(Stanford Social Innovation Review, Winter 2024)
【イラスト】Cristoph Niemann

アンヌ=ロール・フェイヤード

NOVAビジネス・エコノミクススクールのソーシャルイノベーションERAチェア。ニューヨーク大学(NYU)の客員研究教員。NOVA SBEのソーシャルイノベーションとサステナビリティデザインラボのコーディネーター、NYU MakerSpaceとDesign for America of NYUのデザインラボの創設メンバーでもある。

サラ・ファサラー

社会デザインの専門家、研究者、教育者。研究とデザインの倫理性やトラウマへの対応についての著作や講演を行っている。現在、Think of Usのシニアリサーチフェローとして活動し、カリフォルニア芸術大学、UCバークレー拡張スクール、プラットインスティテュートの教員を務めている。

Notes

1 Sarah Fathallah and A.D. Sean Lewis, “Abolish the Cop Inside Your (Designer’s) Head: Unraveling the Links Between Design and Policing,” Design Museum Magazine, vol. 18, 2021.

2 Lorraine Gamman & Adam Thorpe, “Makeright—Bags of Connection: Teaching Design Thinking and Making in Prison to Help Build Empathic and Resilient Communities,” She Ji: The Journal of Design, Economics, and Innovation, vol. 4, no. 1, 2018.

3 Jocelyn Wyatt et al., “The Next Chapter in Design for Social Innovation,” Stanford Social Innovation Review, vol. 19, issue 1, 2021.

4 Anne-Laure Fayard, “Making Time for Social Innovation: How Open IDEO Combined Clock-Time and Event-Time to Nurture Idea Generation and Social Impact,” Organization Science, forthcoming.

5 Arturo Escobar, “Designing as a Futural Praxis for the Healing of the Web of Life,” in Design in Crisis: New Worlds, Philosophies and Practices, edited by Tony Fry & Adam Nocek, London: Routledge, 2020.

6 Sasha Costanza-Chock, Design Justice: Community-Led Practices to Build the Worlds We Need, Cambridge, Mass.: MIT Press, 2020.

7 ここでは代表的なデザイン理論家や実践者は3人を紹介する。持続可能性については、Victor Papanek, Design for the Real World: Human Ecology and Social Change, New York: Pantheon Books, 1971、脱植民地化については、Elizabeth Tunstall, Decolonizing Design: A Cultural Justice Guidebook, Cambridge, Mass.: MIT Press, 2023、マシュー・ウィジンスキーの『資本主義後のデザイン:公平な未来のための今日のデザインの変革』(ケンブリッジ、マサチューセッツ:MITプレス、2022年)を参照してください。反資本主義については、Matthew Wizinsky, Design After Capitalism: Transforming Design Today for an Equitable Tomorrow, Cambridge, Mass.: MIT Press, 2022を参照のこと。

8 Sarah Fathallah, “Why Design Researchers Should Compensate Participants,” Notes Off the Grid, Medium, April 7, 2020; Sarah Fathallah, “Confronting the Power Designers Wield.” UX Collective, September 10, 2021; Sarah Fathallah, “Trauma Responsiveness in Participatory Research,” Think of Us, September 9, 2022; Sarah Fathallah, “An Ethic of Care for Research Participants as Trauma Survivors,” Think of Us, April 3, 2023.

9 Chicago Beyond, Why Am I Always Being Researched?, Equity Series, vol. 1, 2018.

10 See Anne-Laure Fayard et al., “Designing Services at Engine (B): Co-designing for Health and the Domestic Environment,” Case Reference 411-021-1, the Case Centre, 2011.

11 Sarah Fathallah & Sarah Sullivan, Away from Home: Youth Experiences of Institutional Placements in Foster Care, Think of Us, July 21, 2021.

12 Joyce Yee et al., “Measuring Impact,” in Design for Social Innovation: Case Studies from Around the World, edited by Mariana Amatullo et al., New York: Routledge, 2022.

13 Thomas Both, “Human-Centered, Systems-Minded Design,” Stanford Social Innovation Review, March 9, 2018.

14本稿のテーマに関連するその他の参考文献として以下を挙げる。

Arturo Escobar, Designs for the Pluriverse: Radical Interdependence, Autonomy, and the Making of Worlds, Chapel Hill, N.C.: Duke University Press, 2018; Batya Friedman & David G. Hendry, Value Sensitive Design: Shaping Technology with Moral Imagination, Cambridge, Mass.: MIT Press, 2019; Kat Holmes, Mismatch: How Inclusion Shapes Design, Cambridge, Mass.: MIT Press, 2020; Claudia Mareis et al., eds., Design Struggles: Intersecting Histories, Pedagogies, and Perspectives, Amsterdam: Valiz, 2021; Ron Wakkary, Things We Could Design for More Than Human-Centered Worlds, Cambridge, Mass.: MIT Press, 2021; 及び前出の Papanek’s Design for the Real World and Fry & Nocek’s Design in Crisis.

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翻訳者

  • 中嶋愛
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