あなたが最終的に叶えたいビジョンに、今の努力は本当につながっているか―? インパクトを実現するために、組織の規模を拡大すべきだと考えるリーダーたちは多いが、必ずしもそれが最適解になるとは限らない。インパクトを最大化するための組織と事業の形=「エンドゲーム」には多様な選択肢がありうるのだ。ここでは、数多くの事例から導かれた6つのエンドゲームを提案し、組織と事業の目指すべき姿を見つけるための指針を示す。
※本稿はスタンフォード・ソーシャルイノベーションレビューのベスト論文集『これからの「社会の変え方」を、探しに行こう』からの転載です。
アリス・グゲレフ Alice Gugelev
アンドリュー・スターン Andrew Stern
レシプロシティ財団(Reciprocity Foundation)は、米ニューヨーク市でホームレス状態の若者たちの支援に取り組んでいる。多くの非営利団体の例にもれず、比較的少数の人々に対して深く大きなインパクトをもたらそうと、懸命な努力を続けている。設立者らの信念は、90人の若者の生活を根底から長く変えるほうが、何千人もの若者を相手にしたうわべだけの取り組みより有意義である、というものだ。また設立者らは、次のような懸念も抱いている。自分たちのような組織が規模の拡大を目指してニューヨーク州内や全米に新たな拠点を立ち上げたとしても、組織がもたらすインパクトも弱まるし、組織全体のサステナビリティも損なわれるのではないか、と。
レシプロシティ財団が挑む課題の大きさを思うと、重大な疑問が浮かび上がってくる。「これほど規模の小さな非営利団体が、急速に悪化していく社会課題にほんの少しでも切り込むにはどうしたらいいのか?」。ニューヨーク市だけでも2万人以上の若者がホームレス状態で、アメリカ全体では推定170万人の未成年者が住む家を持たない。同財団のプログラムは、そうした若者すべてに役立つはずではないのか。
レシプロシティ財団は近年、新たなアプローチで活動規模をめぐる課題を解決しようとしている。組織そのものを拡大するのではなく、大手の社会事業団体と提携してスタッフにレシプロシティのモデルを教育し、その団体の拠点でプログラムを実施してもらっているのだ。レシプロシティ財団の共同設立者タズ・タゴールは、「これは、密かに規模を拡大する方法です。拠点やスタッフを増やすことも、資金を調達することもなく、インパクトを拡大しているわけです」と述べている。他の組織とパートナーシップを結ぶことで、インパクトを拡大して優れた成果を出し、セクター全体に貢献できるようになったのだ。
言いかえれば、組織の規模とインパクトの大きさは必ずしも同じではない、ということだ。むしろ、ほとんどの非営利団体は、単独で変化を引き起こせるほどの規模に成長することはない。構造的な障壁が高すぎて、持続的かつ著しい成長のために必要な資金を獲得できないからだ。そうした障壁があるということを考えると、非営利団体のリーダーは「どのように組織をスケールアップさせるのか?」ではなく、もっと根本的な問いと向き合うときが来ているのだ。今こそ考えてほしい問いとは、「What’s your endgame?(あなたのエンドゲームは何か?)」である。
「エンドゲーム」とは、その組織が自身の核となる事業モデルや介入策の有効性を証明したあと、最終的にどのような形で社会課題全体の解決に貢献していくのか、というものだ。私たちの考えでは、非営利団体が検討すべきエンドゲームは6つある。そして、スケールアップによって実施中のサービスを維持・拡大しようとするのは、エンドゲームの1つにすぎない。非営利団体は、特定の課題領域において解決しうる項目全体の中で、自分たちはどう貢献できているのかという視点に立って自らの成功を評価すべきだと私たちは主張する。ほとんどの非営利団体の場合、リーダーは自組織の活動を、6つのエンドゲームのいずれかに到達するまでの期間限定の取り組みとして捉えるべきなのだ。
では、あなたのエンドゲームは何か? それは「成長と拡大を続けていくこと」なのか? ソーシャルセクターが抱えるとてつもない課題を踏まえれば、非営利団体のリーダーたちがそう考えたくなるのも無理はない。しかし、それが正しい答えだとは限らないのだ。
スケールアップをめぐる問題点
スケールアップを目指す非営利団体が、実際にそれを達成できる見込みはほとんどない。仮に「大規模組織のマネジメント」をテーマにした会議が開かれれば、会場を埋め尽くすのは営利企業の最高経営責任者(CEO)であり、非営利団体のCEOはごくわずかとなるだろう。アメリカでは1970~2003年の間に年間収益が5,000万ドルを超えた営利企業は4万6,136社だった一方で、非営利団体はわずか144団体だった。最近は非営利団体を取り巻く環境がわずかに改善されつつあるが、1975~2008年の間に年間収益が5,000万ドルに達したのは201団体にすぎない1。
アメリカで非営利団体として登録されている全組織の半数以上は、年間資金調達額が10万ドルに届かず、100万ドルを超えているのはわずか7%というのが現状である2。つまり、財政規模がそれなりの規模に達している非営利団体はかなり少ないのだ。さらに言えば、解決を目指す課題の大きさに見合った規模に達している組織となると、ほとんど存在していない。
私たちの考えでは、アメリカを拠点とする非営利団体の場合、年間資金調達額が最低でも500万ドルに届かなければ「飛躍期」の段階に達したとは言えない。以下、NPOが理想とする成長軌道を大まかに段階別に示す(年間予算額を規模の目安とする)。
- スタートアップ(50万ドル未満)
- コンセプト実証(50万~200万ドル)
- 成長初期(200万~500万ドル)
- 飛躍期(500万~1,000万ドル)
- フルスケール(1,000万ドル以上)
財団は設立して日が浅い非営利団体に資金を提供することが多く、成長の後半段階に入った組織を支援する動機はまったくといっていいほどない。たとえその気があったとしても、ほとんどの財団にはそれに足るだけの資金力がない。実際、1970~2003年の間に年間収益が5,000万ドルを突破した144の非営利団体のうち、財団が主要な資金提供者となっていたのはたった2団体だった。144団体の3分の1は収益事業を、3分の1は政府や自治体からの支援を主な資金源としていた3。他の重要な資金源としてはたとえば金融機関からの融資もあるが、成長の初期や中期にある非営利団体が融資を受けられることはほとんどない。融資が承認されるには最低でも年間予算額500万ドルが必要とされる(私たちは数年前、ある非営利団体への投資を民間金融機関に提案したが、資金調達額が1億ドルになったら戻ってくるように言われた!)。
企業セクターなら、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルがそうした隙間を埋めてくれるかもしれない。しかし非営利セクターの組織は、いわば「ソーシャル・キャピタル・キャズム」(ソーシャルセクターの資本戦略のキャズム)に直面している。組織の現状と、フルスケールを達成するうえで必要な1,000万ドル以上の予算との間にある、大きな溝のことだ(下図「組織がたどる成長ステージとソーシャル・キャピタル・キャズム」を参照)。
言うまでもないが、非営利セクターは21世紀に入って大きく変化を遂げてきた。新世代の非営利団体のリーダーたちは、資金調達が可能な規模への成長につながりそうな、収益性の高い事業モデルを実践するようになった。では、彼らは「ソーシャル・キャピタル・キャズム」を埋めつつあるのか? 成長には時間がかかるため、判断するのは時期尚早だろう。とはいえ、これまでを見る限り、あまり楽観はできない。
こうした疑問を検証すべく、私たちはアメリカ有数の資金提供者から支援を受けている142の非営利団体を調査し、その中でも2000~2007年に設立された41団体に着目した4。この41団体は設立から少なくとも5年間は成長したが、以降は十分には拡大せず、現在もその頃の規模に留まっている。この41団体の中で、比較可能な各種データが入手できた39団体については、2012年時点での予算規模に差が生じていることが明らかになった。3分の2の27団体は年間の資金調達額が200万ドルに達していたが、1,000万ドル規模に成長したのはわずか5分の1の8団体にすぎなかった。これらはここ10年で最も有望な組織であるにもかかわらず、それなりの運営規模に成長したのは、一部にすぎないのだ。
ソーシャル・キャピタル・キャズムが生じる原因
非営利団体と営利企業は、構造面でいくつか違いがある5。そうした違いがあるために、成長の各段階にある非営利団体に適切な支援を行う「ソーシャル・キャピタル・マーケット」(ソーシャルセクター向けの資本市場)はいまだ誕生しておらず、今後も生まれないかもしれないと私たちは考える。ここでは、非営利団体のスケールアップを特に阻んでいる4つの課題を見ていきたい。
●所有権と株式の欠如
非営利団体は構造上、成長期の営利企業のリーダーとなれるような優れた人材をなかなか呼び込めない。非営利団体は、ストックオプションなどの株式報酬を含む給与体系を提供できないため、成長初期に優秀な人材を起用するのが簡単ではないのだ。設立者も同じで、一定の規模まで拡大させようと思わせる、株式売却益のような金銭的なインセンティブがない。非営利セクターには、規模を一気に拡大できる合併・買収(M&A)が促されるような仕組みも欠けている。M&A取引で利益を得る株主がそもそもいないためだ。経営幹部にとっても、2つの組織が合併したところで、得るものは少なく失うものは多い。
●資金調達とサービスの非整合性
企業セクターでは、売れる製品やサービスを開発できるか否かで企業の成功が決まる。つまり商業的な「インパクト」を達成する力は収益力と連動しているわけだ。この課題について、社会起業家支援を行う非営利団体エコーイング・グリーン(Echoing Green)のバイスプレジデント、リッチ・レイムサイダーはこう語る。「ソーシャルセクターでは、2つのゲームで同時に勝利を収めなくてはならない。1つはプロダクトゲーム(真の社会的インパクトをもたらすこと)、もう1つは収益ゲームだ。プロダクトの利用者が必ずしも売上を生む人間だとは限らないので、この両方で勝つのはかなり難しい」6。
●成長投資に対するバイアス
近頃は、大規模な非営利団体は肥大したお役所のようだと揶揄されることが増えており(それが正確なこともあるが)、小規模な非営利団体への支援が好まれるようになった。大規模な非営利団体(たとえば年間収益が5,000万ドル以上)は、リソース配分が非効率だという批判もよく耳にする。その影響もあってソーシャルセクターでは、組織が資本の85%かそれ以上を、運営費(間接費とも言う)ではなくプログラム向けの資金として投入すべきだという通念が一般化してきた。この通念が、組織の成長の足かせとなっている。なぜなら、組織の構造やプロセスや経営能力へ投資することで、組織は成長できるからだ。ところが資金提供者たちが支援するのは、直接的なインパクトを即時に達成できるプログラムばかりだ。資金を提供する側のそうしたバイアスがソーシャルセクターを不安定にし、組織の拡大を妨げているという声がさまざまな専門家から上がっている7。
●助成金のゆがんだ資金提供構造
資金提供者はえてして、非営利団体が掲げるミッション全体よりも、限られた期間で特定の課題に取り組む単独のプログラムを好んで支援する。とりわけ企業財団は、自社の目標に沿うような活動に財源を配分しがちで、必ずしも非営利団体が掲げるより大きな目標を支援しているわけではない。たとえば、フィリピンの国際農村復興研究所は、学校にソーラーライトを設置するための単発の助成金なら問題なく獲得できるが、教員養成や学校運営を目的とした事業への複数年度にわたる助成金獲得には苦労している。そのため非営利団体は、年間目標額を確保するために資金調達に絶えず頭を悩ませながら、単発の少額助成金の獲得に奔走することとなる。それが組織のリソースに負担を強いて、成長を妨げる結果となっている。
「スケールアップ」から「インパクトの実現」への転換
このような構造上の障壁が存在し、それを乗り越えられる見込みがないとすれば、ソーシャルセクターの組織の大半は飛躍期に至るまで苦難の道を進まざるを得ない。ましてやフルスケールなど、夢のまた夢だ。組織の中心をなす強みを伸ばすために必要な資金なくしては、行き着く先は空っぽの銀行口座であり、大きな可能性も眠ったままとなる。ならば、非営利団体のリーダーはスケールアップにまい進するよりも、組織が貢献できるインパクトの実現に焦点を絞るべきだ。
今日の非営利団体に共通する特徴は言うまでもなく、社会的インパクトに重きを置く姿勢だ。「ミッション」や「ビジョン」に加えて、「インパクト目標」と「変化の方法論*」を示すステートメントを非営利団体のリーダーが作成するのが一般的になっている。そうしたステートメントは、営利企業で以前から導入されている戦略計画や効果測定などと合わせ、運営状態の良好な非営利団体であることを示す指標として広く認識されるようになった。
インパクト目標のステートメントにはたいてい、期間(例:5年や10年など)や、インパクトの受益者数(例:子ども1万人)、地名(例:インドのケララ州)、具体的な課題(例:予防接種)が盛り込まれている。特筆すべき事例としてハーレム・チルドレンズ・ゾーン(Harlem Children’s Zone)のステートメントを紹介しよう。「私たちは今後10年にわたり、ハーレム中央地区24ブロック内に居住する0~18歳の子どもたちに対して、重点的に活動を行っていく。(中略)目標とするのは、活動地域の社会的属性や学力が中流階級の平均的なコミュニティと同じ程度になるように、できるだけ多くの子どもたちに健康で自立した大人へと成長していくための能力を身に着けさせることである」。より広範なインパクトステートメントを掲げる非営利団体もある。たとえばハビタット・フォー・ヒューマニティ(Habitat for Humanity)は、「世界から住まいの貧困とホームレス状態にある人をなくすことと、快適な住居は良心と行動の問題であると示すこと」が究極の目的であると述べている8。
インパクト目標をステートメントとして公表する流れができた結果、非営利セクターには以前にも増して強い目的意識が生まれるようになり、実効性も向上したことはほぼ疑いがない。とはいえ、こうしたステートメントは往々にして2つの決定的な要素が欠けている。1つ目は、「組織が立ち向かおうとしている課題の全体像」を明示していないことだ。そのため、「組織が達成可能なこと」と「実際に必要とされていること」の隔たりが考慮できていないのだ。仮に、ステートメントに「目指す年間成長率は10~15%」と書かれているとしよう。営利企業であれば野心的な目標だ。しかし、社会課題を解決するには500%どころか1,000%の成長率が必要であるため、これではほぼ影響を与えないだろう。
2つ目はさらに重要だが、インパクトステートメントには、「立ち向かっている社会課題全般の解決に、組織としてどう貢献できるのか」が具体的に盛り込まれていないことだ。たとえば、フランチャイズを展開してプログラムを複製・再現させていく計画はあるのか。あるいは、特定のプログラムやサービスをいずれ行政に引き継いでもらうことは可能なのか。要するに、非営利団体は目標とする直接的なインパクトだけではなく、最終的にセクター全般の変化をどう生み出すかについても考慮すべきなのだ。いかなる非営利団体であれ、ミッション、ビジョン、インパクト目標のみならず、それと等しく重要な「エンドゲーム」をも明確にしなければならないと、私たちは考えている。繰り返すが、ここで言う「エンドゲーム」とは、特定の課題領域において解決しうる項目全体の中で、組織が最終的に果たそうとしている役割のことだ。私たちが行った非営利団体に関する研究では、そうした役割を明確に定義している組織はほとんどない。
成長の先にあるエンドゲームとは
私たちは、非営利団体が考慮すべき6つのエンドゲームというフレームワークを開発した(表「目指すべき6つのエンドゲーム」を参照)。このフレームワークは、非営利団体の規模拡大に関する過去の研究を土台としたものだ。たとえば、財団の資産運用を手がけるアラベラ・アドバイザーズ(Arabella Advisors)や非営利コンサルティング団体ブリッジスパン・グループ(Bridgespan Group)はこれまで、ソーシャルセクターの行く手を阻む巨大な課題に少しでも影響を及ぼすために、NPOがアドボカシー、パートナーシップ、レプリケーション(複製・再現)、ネットワークなどをどう活用していけばいいのかを研究している9。
では、非営利団体は目指すべきエンドゲームをどうやって見極めればいいのか。出発点は、取り組んでいる「社会課題」と、その解決策として実施している「運営モデル」、この双方に備わっている本質的な特徴を吟味することだ。そうすれば、どのエンドゲームを目指すべきか、組織の成熟に合わせてどの能力を伸ばしていくべきかが浮かび上がってくるはずだ。
1 オープンソース化
「オープンソース化」のエンドゲームを目指す組織は、研究開発に投資し、新しいアイデアや介入策を生み出したり、改善・改良を加えたりしていく。そして、知識の中継地としてアイデアや介入策の普及に努め、他組織にリソースを提供していく。オープンソース化を目指す非営利団体自体がアドボカシーに取り組むこともあるだろう。オープンソース化を成し遂げた典型例が、飲酒問題を克服する自助グループのアルコホーリクス・アノニマス(AA)だ。同組織が構築した依存症克服モデルは、どのような宗教団体でも非営利団体でも導入して実践できる。実際、AA自体はアルコール依存症の当事者集会を開くことはなく、代わりにリソースセンターを運営して教材やアイデアを提供し、各地のグループがそれを利用して集会を開いている。つまり、オープンソース化した組織のコア・コンピタンス(中核能力)は、知識の効率的なマネジメントなのだ。
2 レプリケーション(複製・再現)
「レプリケーション」のエンドゲームを目指す組織は、組織そのものを拡大させずに「プロダクトやモデルの利用」を拡大しようとする。このエンドゲームを目指す場合は、自分たちのプロダクトやモデルの有効性を実証したうえで、それを実行してくれる他の組織を見つける必要がある。多くの場合、盤石なインフラが整っていることや、活動するコミュニティ内での信頼が厚いという条件があると、複製する組織のほうが生みの親よりもうまく実践できるようになる。また、他の地域で同様の組織を一緒に立ち上げたいと第三者から相談を受けた非営利団体の経営者が、広範に展開する動機も組織力もない場合に、複製・再現可能なモデルの開発に取り組むケースもある。そして、プロダクトやモデルが他の組織で採用されるようになったあとは、認証団体としてモデルの品質維持に取り組んだり、採用を検討している組織にベストプラクティスを提供する拠点となったりすることができる。
このエンドゲームの最たる例が、アメリカのチャーター・スクール*1のネットワークだ。チャーター・スクールは、地域の学校システムに一定の競争原理を持ち込むとともに、学力向上を目的とした新しい教育法やカリキュラムなどを実験している。ただし、そうしたイノベーションを導入する際は一般的に、地元の教育機関を熟知している必要がある。そのため、ニューヨーク市のハーレム・サクセス・アカデミー(Harlem Success Academy)やニュージャージー州ニューアークのノース・スター・アカデミー(North Star Academy)などの有名チャーター・スクールのように、自身のモデルを複製・再現するための普及センターを設置するケースが多い。
3 行政施策への導入
「行政施策への導入」のエンドゲームを目指す組織は、介入策の有効性を実証し、大規模な導入が可能であることを示そうとする。そしてアドボカシー活動に乗り出し、政策や予算の意思決定に働きかけていく。行政施策への導入が実現したあとは、行政機関に助言やサービスを提供する役割を担うことができる。(ほとんどではないにせよ)多くの社会課題は克服に必要とされる事業規模がかなり大きいため、行政の関与が欠かせないこともしばしばだ。
行政施策への導入の成功例が、20世紀への変わり目にアメリカで進められたキンダーガーテン*2の制度化だ。アメリカで未就学児童向け教育を始めたのは、主に民間の慈善団体や孤児院や教会が経営する私立学校だった。やがて、早期教育が子どもの発達にもたらす利点を知った教育委員会が、既存の公立学校制度にキンダーガーテンを組み込み始めた。第一次大戦が始まるころには、キンダーガーテンはすべての主要都市の教育制度に導入されるようになり、公立のキンダーガーテンに通う児童の数は、私立に通う生徒よりも19:1の比率で上回った10。
4 商業化
「商業化」のエンドゲームを目指す組織は、不確実性や情報不足といった市場の失敗や非効率性を改善しようとする。たとえばその市場において、起業コストや戦略的リスクが高すぎて営利企業の利益に見合わないと製品の製造やサービス提供にギャップが生じ、それを埋める解決策を非営利団体が模索することがある。また、商業化には、非営利団体が現実的なリスクや不安要素を軽減したあとに、営利企業が収益を生み出せる要素が必要だ。たとえば、近年では数多くの大学が研究所を設置し、技術者や教員などが、いずれ民間企業に導入されそうな製品やサービスの、プロトタイプ開発や実験に取り組んでいる。
あるいは、マイクロファイナンスについて考えてみよう。この分野の先駆けとなったバングラデシュのNGOであるBRACやグラミン財団は、低所得層向けの金融サービスでも収益化が可能であることを証明した。それを受けて民間の金融機関が参入し、マイクロファイナンス市場のより所得が高い層に貸付を行うようになっている。非営利団体は引き続き、リーチしにくい階層へのサービス提供や、お金を借りる人がより大きな金融市場にアクセスできるように支援したり、新たな金融商品の開発を行ったりしている。また、民間金融機関が提供するマイクロファイナンスの品質維持にも努めている。
もう1つの商業化のかたちは、最終的に収益のすべてか大半を営利事業から得るような部門を、非営利団体が法人化するというものだ。社会起業家を支援する組織アショカ(Ashoka)などの先進的な取り組みと、近年におけるインパクト投資の台頭により、ソーシャルセクターでは市場の仕組みを活かす解決策を追求すべきとの声が高まりつつある。さらに、資金提供団体では、収益源の確保を助成金支給の基準に含めることが増えている。たとえば、国連財団が主導する公民連携プロジェクトである「クリーンな調理用コンロ普及に向けたグローバル・アライアンス(Global Alliance for Clean Cookstoves)」に参画するスパーク財団(Spark Fund)は、助成金の支給先に対して「ビジネスがどのように長期間にわたって持続的に成長していくかを示す」ことを義務づけている。なかには、設立当初から商業化を目指す非営利団体も存在する。この例として、デジタルコンテンツ関連サービスを提供するデジタル・ディバイド・データ(Digital Divide Data)は収益の大半を有料会員から得ており、アフリカの僻地に医療を届けるライダーズ・フォー・ヘルス(Riders for Health)はインパクトの倍増と同時に、持続可能な収益化モデルの実現を目指している。
5 ミッションの達成
「ミッションの達成」のエンドゲームを目指す組織は、わかりやすくて実現可能と思われるゴールを掲げている。ポリオやマラリアなどの病気根絶に尽力する組織がそのよい例だ。たとえばエンド7(End7)は、「顧みられない熱帯病」7種を2020年までに撲滅するというミッションを唯一の目的とし、短期的な活動と長期の戦略の整合性をとっている。
ほとんどの場合において非営利団体は、目標を成し遂げたあとは活動を徐々に縮小していくべきだ。ところが、ミッション達成後も何とか生き残ろうと、成り行きに任せて活動を継続する組織が驚くほど多い。ミッション達成後も継続すべきなのは、別の社会的な目的に活かせるような貴重な強みや能力がある場合だけだ。たとえばマーチ・オブ・ダイムス(March of Dimes)は、ポリオ患者の支援プログラムとワクチン研究を通じたポリオ根絶を掲げて設立された。その後、医学者のジョナス・ソークとアルバート・サビンがワクチン開発に成功し、アメリカでのポリオ感染が事実上終息したあとは、組織の大きな強みである広い草の根ネットワークと信頼されるブランドを活かし、出生異常と乳児死亡の阻止という新たなミッションに取り組んでいる。
6 サービスの継続
大半の非営利団体にとって、恒久的なサービス提供を目指すのは当然のように見えるが、それが必ずしも正しいエンドゲームだとは限らない。「サービス」の継続が妥当なのは、企業セクターと公共セクターが現在も今後も対処できない社会的ニーズを、非営利団体が満たせる場合のみだ。企業セクターのエンドゲームである商業化については、自分たちのプロダクトやサービスのリスク・リターン分析が営利企業のニーズを満たすかどうかを検証すればいい。一方公共セクターのエンドゲームである行政施策への導入については、公的機関が自分たちの介入策を積極的に採用する気があるのか、あるいは単にその能力が不足しているのかを評価すべきだ(後者であれば、公共セクターの能力開発に向けてアドボカシー活動に取り組んでもいい)。
サービスの継続というエンドゲームを達成した好例が、アメリカの非営利病院だ。彼らは行政や企業が埋められない医療システムの格差、とりわけサービスの公正さに関するギャップを埋めている。これらの病院は事業収益と寄付で運営資金をまかなっており、地域社会との強い結びつきも大きな頼りだ。さらに、顧客や地域への貢献志向が強いため、説明責任を果たすことや効率を高めることに熱心だ。
効率性は実際、サービスの継続をエンドゲームとする非営利団体に欠かすことのできない特徴である。通常はリソースを増やさずに、それどころかより少ないリソースでも、インパクトの最大化を目指して懸命に努力しなければならない。だからこそ、世界トップクラスのリーダーシップと運営力が求められるのだ。
「終わり(エンド)」は始まり
「死は、私たち誰もが行き着くところです」
スティーブ・ジョブズは2005年、スタンフォード大学の卒業式のスピーチでそう語りかけた。「死から逃れた人間は1人もいません。それは、あるべき姿なのです。おそらく死とは、生命の唯一かつ最高の発明です。生命に変化を促すものなのです」11。個人の人生の目的と同様に、非営利団体の目的も逃れられない結末から導き出されるべきなのだ。たしかに、非営利団体が能力を高めていくためには、最低限の規模に到達することは必須だ。とはいえ、スケールアップ自体が組織の存在意義となってはならない。
非営利団体は、どのようなインパクトを達成したいかだけでなく、セクター全体をどう変えていきたいかを表明しなくてはならない。その文脈では「拡大」が新たな意味を帯びる。つまり組織によっては、大規模なインパクトを実現するために、予算の増加を抑制して他の組織にサービス提供を移行させるという選択肢もありうるのだ。いずれにせよ、早い時期にエンドゲームを定めれば、成長初期の段階でリソースをより有効に活用できるようになるだろう。
これまで6つのエンドゲームの概略を述べてきたが、それぞれに見合った組織のライフサイクルがあり、予算の増減軌道を予測できる。非営利団体がコンセプトを証明して最低限の規模に成長したら、予算の軌道を、目指すエンドゲームに見合った方向へと切り替えるべきだ。予算が増え続けてもかまわないのは、サービスの継続を目指す場合だけである。それ以外のエンドゲームでは、予算が時とともに急増することはなく、むしろ横ばいが続くか、場合によっては減少していく。組織が知識の中継地に進化したり(オープンソース化)、ベストプラクティスの研究拠点となったり(レプリケーション)、目標を達成して縮小に向かったり(ミッションの達成)すると、資金は大幅に減少するだろう。行政施策への導入か商業化の場合は、予算の軌道はまちまちで、組織がどのようなギャップを埋めようとしているのか、または介入策を導入した行政機関や企業に引き続きサービス提供の手助けをしていくかどうかで変わってくる(下図「各エンドゲームの推定される予算軌道」を参照)。
厳しい現実を明かせば、非営利団体が自身の有効性を最大化できるのは、オープンソース化やレプリケーションによってムーブメントを起こすことに重点を置いた場合か、行政施策への導入や商業化を目指す場合だ(ミッションの達成は、特定の課題領域で主に活動する非営利団体に当てはまる特殊なケースである)。6つのエンドゲームから1つだけを選ぶのは、簡単ではない。ムーブメントを起こすために、非営利団体のリーダーは他の組織と協力関係を築く必要があるが、成長初期にある組織は運営存続に集中しなければならないため、特に苦労するだろう。行政施策への導入を見据えるなら、巨大なお役所組織と連携することになるし、商業化を目指せば、企業セクターにあたかも「身売り」したように見えてしまうリスクがある。いずれにしても前述したとおり、その組織がどれかのエンドゲームに到達できるのであれば、現在生み出しているインパクトを他の手段で実現することは可能なのだ。
ゲームチェンジャー
「スケールアップ」を優先すべきだという風潮の中でも、その流れに逆らうリーダーもいる。彼らは、インパクトの実現において、組織の規模拡大が唯一の手段どころかベストな手段でもないことを認識している。調査を進める中で私たちは、自らの能力と現状にきちんと見合ったエンドゲームを見据えて、優れたパフォーマンスを発揮しているいくつかの非営利団体に出会った。
アフリカと南米の小規模農家に金融支援を行うルート・キャピタル(Root Capital)を例にとろう。ルート・キャピタルでは2013年の融資残高が平均で約7,000万ドル、累計融資額は5億7,400万ドルだった。小規模農家向け融資の総需要は世界全体で年間200億~400億ドルにのぼると見られている12。つまりルート・キャピタルは、少なく見積もった需要の10%を満たすためだけでも、年間の融資額を30倍近くに増やさなくてはならないことになる。ミッションを成し遂げるには他組織との提携が欠かせないことを理解したルート・キャピタルは、商業化というエンドゲームへと向けて積極的に活動していくことを決断した。そして、より広範な農家向け金融市場に変革を起こすべく、さまざまな活動を行っている。たとえば、新規金融商品の研究開発プラットフォームという役割を果たしている。また、民間の金融機関に対して市場の上位層にサービスを提供するよう促し、さらに、他の農家向け貸付機関と共同で業界基準の策定や責任ある貸付慣行の構築に取り組んでいる。ルート・キャピタル設立者のウィリー・フットは、他組織との提携を推し進める中で(自殺的とは言えないまでも)「病的なまでに協力的」であろうとしたと話す。
マザーズ2マザーズ(mothers2mothers)も、規模と戦略を見直して成功した非営利団体だ。ミッションにHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の母子感染防止を掲げ、中心事業は「メンター・マザー」の育成とサポートだ。メンター・マザーは、地域の母親や子どもに対して、保健知識の教育、心理的・社会的支援、医療機関などのサービスの紹介を行っている。一時は直営の拠点数が800カ所に達し、世界各地のHIV陽性妊婦120万人のうち15%が活動対象となっていた。しかし、2010年にエンドゲームの再検討を実施したところ、既存のサービス提供モデルでは、HIV陽性の妊婦全員に手を差し伸べるには、予算規模を6倍(年間にして1億2,000万ドル以上)にしなければならないという結論に至った。現在は、対象の女性たちにサービスを直接提供するのではなく、各地の行政機関に対して、「メンター・マザー」プログラムの導入を促し、現地のNGOや提携パートナーによる複製・再現を支援している。また、行政施策への導入を推進するために、子どものHIV新規感染撲滅を目的とする国連グローバルプランに同プログラムを提案して採用された。マザーズ2マザーズは研究と育成を目的とした施設を引き続き運営しているが、これは現地へのプログラム実装拠点となることもある。
目的と手段
ソーシャルセクターのステークホルダーにとっては、「エンドゲームは何か」という問いは最初の一歩にすぎない。社会的インパクトの最大化に向けて貢献するには、組織の運営方法と、外部組織との関わり方を変えることが必要だ。非営利団体のリーダーたちは、3つの基本的な重要事項を考慮しなければならないと私たちは考える。
●初期段階からエンドゲームを定義する
非営利団体を立ち上げる際には、ミッションとインパクト目標のステートメントだけでなく、エンドゲームのステートメントも打ち出すことが通例となるべきだ。それぞれのエンドゲームは必ずしも互いに相容れないわけではないし、設立者が当初のアイデアや発想をもとに活動を開始したときに正しいエンドゲームを完全に把握しているわけでもない。しかし、エンドゲームについて熟考することは、インパクトを最大化する道筋をつけるのに役立つし、組織の成長にばかり目がいってしまうことも防げるだろう。非営利団体は資金提供者や受益者や支援者に対して、自分たちがどのエンドゲームに該当するのか、また、どのような条件下で組織が解体・合併したり活動領域を変更したりするのかを明示すべきだ。こうした過程を経ることは、リーダー自らが描く変化の方法論をはっきりと打ち出すうえでも役に立つ。
●中心的な活動に集中する
エンドゲームが明確に定義されれば、中心的な活動にもっと時間を割けるようになって、ミッションに向けて前進できるだろう。組織によっては、自分たちの中心的な活動とは、知識の共有について「病的なまでに協力的になること」だという結論に達することもあるだろう。あるいは、行政機関や民間の金融機関と強固な関係を築くことだと考える組織もあるかもしれない。中心的な活動に集中すれば、一見すると難しそうな決断もより早く下せるようになる。仮に、地元の提携パートナーに運営を移行するのが最終ゴールなら、最優先すべきはサービスを自ら実施することではない。たとえそのほうが、手を差し伸べられるターゲットが短期的には増えそうな場合であってもだ。
●チームに心の準備をさせる
非営利団体のリーダーは、ミッションの達成に尽くすだけではなく、組織に関わるメンバーに対して尽くすことも仕事の1つだ。いずれも重要な仕事であることに変わりはない。しかし、非営利団体の第一かつ最大の目的は、社会的目標の達成だ。そのためリーダーは、エンドゲームに近づきつつあるときに、予算や人員を削減する可能性が高いことをチームに伝える必要がある。適切に対処すれば、そうしたやりとりから目的意識が生まれ、スタッフは組織に勤める残りの時間も高いモチベーションをもって仕事に当たるようになるだろう。
一方、非営利団体に資金提供する側も、以上とは異なる3つの重要事項に向き合うことになる。
●ギャップを埋める
何度も述べてきたとおり、大きなインパクトを生むことは、財政規模を拡大することと同義ではない。とはいえ、非営利団体が軸となる能力を開発するためには、最低限の資金が必要である。私たちは今回の研究で、非営利団体が初期の創立資金を容易に獲得できる段階と、企業や政府の資金を獲得できる段階の間にギャップがあることに気がついた。資金提供者は、ソーシャル・キャピタルのキャズムを埋め、支援先とともに持続可能な成長戦略を打ち立てることで、彼らの前進を後押しすることができるのだ。
●触媒となるインパクトへ投資する
支援先を評価する際、資金提供者は支援先がその分野全体にどのようなインパクトを与えるのか、あるいは与えうるのかを考慮しなくてはならない。これまでは、直接的なインパクト(「受益者への医療の提供」)や間接的なインパクト(「乳児死亡率の減少」)にばかり着目してきた。しかし、非営利団体が行政施策への導入や商業化といったエンドゲームを追求することによる波及効果、つまり触媒となるインパクトにも目を向けるべきだ。同様に、資金提供者は(「特定のプログラムに必要な資金はいくらか」と問うように)視野を狭めることなく、ミッションの達成と関係のある広範な課題を俯瞰したうえで支援を決定しなくてはならない。いくつかの資金提供者は、すでにこうしたアプローチを取るようになっている。たとえばアメリカのスコール財団(Skoll Foundation)は、特定のセクター(教育、経済的な機会、水や衛生)をターゲットに据えて支援のポートフォリオを見直し、それらのセクターをよい方向へと導いていく可能性を秘めた非営利団体に(イノベーションに対する助成金という形で)資金を提供するようになった。
●エンドゲームへの到達を支援する
資金提供者は、ソーシャル・キャピタルのキャズムによって非営利団体が本来の可能性をうまく発揮しきれない現状を認識して、エンドゲームに到達してその段階を全うするまで、彼らをしっかりと支援していくべきだ。多数の非営利団体に助成金を少しずつ支給するより、最も有望な組織をサポートし、大規模な社会変化の実現を目指すべきだ。さらに、資金提供を決めるプロセスでは、各組織に「あなたのエンドゲームは何か?」と明確に尋ねるべきだ。その情報があれば、組織が(たとえば)商業化やレプリケーションへと舵を切るべきときはいつかをもっと簡単に見極められる。
最後に、非営利団体の目標は、ひたすら予算規模を拡大することでも、活動範囲を広げることでもない。真の目的は社会的インパクトの達成だ。非営利団体が見据えるエンドゲームを詳しく分析することは、非営利セクターがインパクトを最大化させたあとの次のステージを描くということである。だからこそ、非営利団体のリーダーたちは早い段階でエンドゲームを明確に定義する必要があるし、資金提供者たちはそのエンドゲームに到達するために手を貸す必要がある。
記事の草稿に対して建設的なフィードバックを提供してくれた以下の方々に感謝したい。ロバート・ファブリカント、マット・フレイザー、クロエ・ホルダネス、リッチ・レイムサイダー、ベス・シフェロー、アニー・シモンズ。また、非営利セクターの調査・分析に協力してくれたダルバーグ・グローバル・ディベロップメント・アドバイザーズのバーヴァナ・チルクリとスネハ・シェス、編集協力者のジェニファー・ミクルとサラ・ウォレスにも心からお礼を述べたい。
ソーシャルセクターがこれほどの可能性を秘めているときは、これまでの歴史になかったのではないだろうか。目的につき動かされた新しい世代のプロフェッショナルたちがこのセクターに続々と参入し、新しいビジネスモデルやツールを武器に社会変化を起こそうとしている。しかし、ソーシャルセクターの努力を真に結実させるためには、彼らや他のリーダーたちが共に、どのエンドゲームを目指すのかについて、対話を始めなくてはならないのだ。
【翻訳】遠藤康子
【原題】What’s Your Endgame? (Stanford Social Innovation Review, Winter 2015)
(訳注)
* 変化の方法論(セオリー・オブ・チェンジ):社会課題の解決やビジョンの実現など、特定の変化を生み出そうとするときに、どのような手段や方法を用いて、どのような成果やインパクトが生まれるのかを描いたもの。その際、利害関係者(ステークホルダー)がどう関わるかを示す場合もある
*1 チャーター・スクール:親や教職員、地元団体などが連携して教育問題に取り組むべく,州や学区の認可(チャーター)を得て開設する小学校や中学校
*2 キンダーガーテン:義務教育が始まる小学校入学前の4~6歳児向け教育機関.アメリカでは公立小学校に併設していることが多い
(原注)
1 Peter Kim and Jeffrey Bradach, “Why More Nonprofits Are Getting Bigger,” Stanford Social Innovation Review, Spring 2012.
2 ダルバーグ・グローバル・ディベロップメント・アドバイザーズ(Dalberg Global Development Advisors)による米国内国歳入庁(IRS)「Exempt Organizations Business Master File (BMF)」(免税団体マスターファイル)のデータ分析.元データはBMFが公表した2013年10月から2年以内に提出された非営利団体の年次報告書「フォーム990」.シンクタンク「アーバン・インスティチュート(Urban Institute)」サイト内「National Center for Charitable Statistics(慈善団体統計)」を通じて確認.http://nccsdataweb.urban.org
3 William Foster and Gail Fine, “How Nonprofits Get Really Big,” Stanford Social Innovation Review, Spring 2007.
4 非営利団体に資金提供を行う大手財団「ビッグ・バン・フィランソロピー(Big Bang Philanthropy)」「DRK財団(Draper Richards Kaplan Foundation)」「ムラゴ財団(Mulago Foundation)」「スコール財団(Skoll Foundation)」のポートフォリオを集約.データ収集に際しては,IRS「フォーム990」,年次報告書を参考にしたほか,複数の非営利団体から直接情報を収集した.
5 Jeffrey L. Bradach, “Going to Scale,” Stanford Social Innovation Review, Spring 2003.〔本書収録論文「04 規模の拡大を目指して」〕
6 リッチ・レイムサイダーからの2014年1月19日付け受信メール.
7 Ann Goggins Gregory and Don Howard, “The Nonprofit Starvation Cycle,” Stanford Social Innovation Review, Fall 2009.
8 ハーレム・チルドレンズ・ゾーンとハビタット・フォー・ヒューマニティのインパクト・ステートメントは,以下の論文から引用.
Susan Colby, Nan Stone, and Paul Carttar, “Zeroing in on Impact,” Stanford Social Innovation Review, Fall 2004.
9 The Bridgespan Group, “Transformative Scale: The Social Sector’s New Frontier,” an event held in New York City, November 19, 2013, and subsequent email communication.
Louis C. Boorstin, “To Scale Impact, Funders Must Understand the Systems in Which Grantees Operate,” Arabella Advisors website, December 9, 2013, http://www.arabellaadvisors.com/2013/12/09/to-scale-impact-funders-mustunderstand-the-systems-in-which-grantees-operate
Elliott Berger, “Partnering to Scale Impact,” Arabella Advisors website, July 23, 2013, http://www.arabellaadvisors.com/2013/07/23/partnering-to-scale-impact
Heather McLeod Grant and Leslie R. Crutchfield, “Creating High-Impact Nonprofits,” Stanford Social Innovation Review, Fall 2007.〔本書収録論文「05 大きなインパクトの生み出し方」〕
10 Ellen Berg, “Kindergarten,” in Paula S. Fass, ed., Encyclopedia of Children and Childhood:In History and Society, Farmington Hills, Mich.: Gale, 2003, posted online in 2008, http://www.faqs.org/childhood/Ke-Me/Kindergarten.html
11 スタンフォード大学卒業式(2005年6月12日)でのスティーブ・ジョブズによるスピーチ原稿.Stanford Report, June 14, 2005, http://news.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html
12 Dalberg Global Development Advisors, “Catalyzing Smallholder Agricultural Finance,” 2012, http://dalberg.com/documents/Catalyzing_Smallholder_Ag_Finance.pdf