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ボイコットは取締役の離職率を3割高める

ボイコットは取締役の離職率を3割高める

社会運動によるボイコットは顧客や従業員に対してだけではなく取締役会にも打撃を与えうる。

※本稿は、SSIR Japan 編『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー 日本版 01 ソーシャルイノベーションの始め方』より転載したものです。

チャナ・R・ショーンバーガー Chana R. Schoenberger

企業が重要な価値観を守っていないとして社会活動家がボイコットを呼びかける光景は、今日のソーシャルメディア主導の批判カルチャー[ソーシャルメディアなどにおいて個人や組織の言動や態度を批判し、説明を求める行為]の下では頻繁に見られるようになった。ここでいう価値観とは、環境保護やLGBTの権利といった進歩的なものもあれば、信教の自由や銃所持の権利などといった保守的なものもある。社会活動家たちは、ボイコットが企業の行動を変えるための効果的な手段であると思っている。顧客やビジネスパートナーが離れ、収益が減れば、やり方を変えざるを得なくなると考えているのだ。

ボイコットには別の効果もある。企業の取締役会が受ける影響を考察した最新の論文によると、「ボイコットは、対象となった企業の離職率を著しく増加させる。特に、企業の社会的価値が取締役自身の個人的価値と対立することを示唆するようなボイコットの後には、取締役が自ら職を辞する可能性が高くなる」。ペンシルバニア大学ウォートンスクールで経営学の准教授を務めるメアリー -ハンター・マクドネルと、テキサス大学オースティン校マコームズ・スクール・オブ・ビジネスでビジネス、政治学、社会学の准教授を務めるJ・アダム・コブはそう指摘する。

彼らは、2000 ~2014 年にボイコットが発生した 120 社を抽出し、それらのボイコットが取締役の離職率にどのような影響を与えたかを調査した。その結果、対象企業の離職率が 7%増加していたことがわかった。これはボイコットの影響を受けていない企業の離職率に比べて 3 割も高い。

また、過去にどのような政治運動を支持していたかという公開記録をもとに、個々の取締役のイデオロギー傾向を評価したところ、リベラルか保守かにかかわらず、自社を標的とする社会運動の価値観を共鳴する取締役は辞める傾向が強まることが判明した。一方で、リベラルな運動が自社を標的にしている場合に保守的な取締役が取締役会で自分の立場を主張する可能性は、リベラルな取締役が保守的な活動家によるボイコットに直面している場合に比べて高いことも明らかとなった。この結果は、ペンシルバニア大学のフィリップ・テトロック教授が提唱する「右翼の硬直性」と呼ばれる仮説と一致する。この仮説は、政治的に右派寄りの人ほど、自分の考えを正しいと信じて疑わず、頑なになる傾向があるというものである。

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