コレクティブインパクト・連携

米中の大学パートナーシップで中国農村開発のEBPMに挑む

スタンフォード大学の農村部教育アクション・プログラム(REAP)は中国農村部の人々の生活を改善するために中国とアメリカ、ヨーロッパの大学による比類のない共同研究体制を確立した。REAPの成功は、科学的な手法の開発への応用と社会的インパクト創出を目的とした国際的パートナーシップの可能性を示している。

※本稿は、SSIR Japan 編『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー 日本版 03 科学技術とインクルージョン』より転載したものです。

ティエンリー・ファン

スコット・ロゼールが初めて中国を訪れたのは1984年、コーネル大学の大学院博士課程で開発経済学を学んでいたときだ。南京農業大学(NAU)での講義に協力するための訪問だった。1980年代後半には、論文執筆のための調査の一環として中国で現地調査を開始した。中国が海外の研究者に門戸を開いて以来、初の外国人による現地調査の1つである。ロゼールはハイブリッド米導入の経済性について研究しており、村のリーダーが新しい品種の米を導入することにどのような反応を示し、ハイブリッド米が農村の暮らしにどう影響するかを調べようとしていた。

それ以来、中国と密接な関係を保っている。ロゼールは現在、スタンフォード大学と中国の数十校のパートナー大学が共同研究を行う組織、スタンフォード大学農村部教育アクション・プログラム(Rural Education Action Program, REAP)を率いている。

15年にわたりREAPが力を入れているのは、中国農村部の健康と教育の問題について、革新的で規模の拡大が可能な解決策を見つけることだ。これまでに、栄養状況の改善、学校でのよりよい指導法の推進、乳幼児の保健と認知能力の向上、教室での学習効果を高めるためのコンピュータの活用などに取り組んできた。こうしたすべての取り組みに共通するのは「効果があるものを見つけ、規模を拡大して実践する」というシンプルなものだ。

REAPは開発経済学のなかでも、一次データと統計を用いた社会プログラムの厳密な評価を重視する一派に属している。そこでは、社会プログラムの効果を医学の臨床試験と同様の方法で測定する。まず、標本として十分な数の人々を選ぶ。そしてその人たちをランダムに半分に分け、片方だけに介入を行って、2つのグループの観察を続ける。両者に何らかの違いがあれば介入の結果と考えることが可能だ。こうしたプロセスによって研究者はプログラムの効果を定量化でき、誰が恩恵を受けていて、誰が受けていないか、それはなぜなのかを判断する材料にできる。これらはすべて、開発政策を選択し実施するためのよりよい判断材料を提供するために行われる。[この手法は「ランダム化比較試験(randamized controlled trials, RCT)」と呼ばれる。後出のバナジーとデュフロはこの手法を貧困問題の緩和に用いたことで、2019年にノーベル経済学賞を受賞した]。

しかし、REAPは単に共同研究のための組織ではない。何が開発に効果的かを見定めるだけでなく、効果が証明されたプログラムの活用に力を入れ、大規模な変革を推進している。たとえば中国の指導部に政策提言をしたり、地方の行政官やNGO、社会的企業、フィランソロピスト(慈善活動家)らとともに実証済みの解決策を試行し、優れたプログラムの拡大施策を提案したりすることを通じて、研究と実践を独自のかたちで融合している。

REAPは2006年に、小規模な助成金とフルタイムのスタッフ1人とともに、スタンフォード大学エンシナホールにある窮屈な窓のないオフィスから始まった。いまではアメリカと中国にフルタイムのスタッフを20人抱え、世界中の何十人もの研究者が参加する組織に成長した。これまでに数百本の論文を学ジャーナル術誌に発表し、アメリカと中国で数千人の学生を教育し、何百万人もの子どもたちの生活に影響を与え、その一方で開発に関するベストプラクティスを世界中に広めている。中国の経済発展にともなって、REAPにも注目が集まるようになった。その成功は、アメリカと中国の研究者が協力すれば大きな成果が得られることを証明している。

よりよい教育と健康を求める農民たち

ロゼールの生涯を通じての中国への関心は、ロサンゼルス郡南東部のベルフラワーにある中学校で、標準中国語を学ぶよう父から勧められたことから始まった。父は4世代目のカリフォルニア住民で、第二次世界大戦では上海に駐留していた。中学校の中国語コースは、冷戦時代の政府が導入した新しいプログラムで、アメリカの小中学校ではめったに教えない戦略言語(ロシア語や中国語など)のスキルを高めるためのものだった。

中国語を学ぶという、少年時代の運命的な決断以来、ロゼールの人生の軌道は中国に向かっていた。中国の農民研究を始めたばかりの頃、学生時代の論文を執筆するなかで、彼は貧しい農村部と出合った。毛沢東の下での30年以上に及ぶ政治的大混乱と、集団主義の実験からゆっくりと立ち上がり始めていた地域である。農民は依然として手作業で農産物を生産しており、中国の数十万の農村にはほとんど道路が通っていなかった。

1990年に博士課程を終えると、ロゼールはスタンフォード大学の食糧研究所(Food Research Institute, FRI)で、助教の職に就いた。1996年に同研究所が閉鎖されると、ロゼールはスタンフォード大学近くの、カリフォルニア大学デービス校(UCデービス)で、終身在職資格のある准教授となり、そこでも中国農村部の研究を続けた。同校在籍中に彼の研究プログラムは急速に拡大し、その成果をもとに2000年に教授に昇進する。ロゼールは2006年にスタンフォード大学に戻り、フリーマン・スポグリ国際関係研究所の国際農業政策におけるヘレン・C・ファーンズワース記念講座教授となった。

スタンフォードとUCデービスでの日々を通じて、ロゼールは中国農村部の開発と貧困の削減に力を注ぎ、中国に築いた協力者のネットワークを通じて農村部でのフィールドワークを積み重ねてきた。その結果、2000年代中頃には、ロゼールは中国農村部の経済と農業の研究者として、トップクラスの人物と目されるようになった。

この間、国家主席の鄧小平の下で始まった市場改革によって、1990年代には農村部の生活も次第に変化していった。ロゼールは農業や食料生産の進歩と、農村の労働力の他業種への移動も研究対象に加えた。2000年代初めには、中国はひどい貧困状態から抜け出し、より豊かな中間所得の国へと変わりつつあり、ロゼールは中国農村部の経済開発は、米の品種の選択といった問題だけではすまされないと認識するようになった。

「その頃、私が目にしていたのは、農民が自分の小さな農場での生産性を上げるために種や農具などを揃えたとしても、暮らしと収入はほとんど改善しないという状況でした」とロゼールは言う。「農村部にあるのは、小さな家族農場ばかり。たしかに、工場や建設現場の仕事は周囲にありましたが、足場をのぼってレンガを運んだとして、将来はどうなるのでしょう。それに、高速道路が完成し、高級マンションの建設ペースが鈍ったら、そういう仕事はどうなりますか。いま転換期に差し掛かっています。建設はだいたい終わってしまいました」。

中国が海外に扉を開くなかで、豊かさへの新たな道筋が見えてきていた。農民がこの機会を生かすにはどうしたらよいのか。ロゼールが2004年に2万人の農民を対象に行ったアンケート調査から、この課題が浮き彫りになった。

「私たちは農民に、生活を改善するには何が必要かをたずねました」とロゼールは振り返る。「彼らが求めていたのは新しい灌漑用の水路や、農具などではなく、よりよい学校と健康でした。田畑を耕す生活から抜け出し、未来のチャンスにつながるただ1つのものを望んでいた。つまり優れた教育です」。

この発見をきっかけに考え方が変わったロゼールは、中国農村部の人的資本の構成という、複雑な問題を研究し始める。そのなかで由々しい状況が明らかになってきた。中国の総人口のうちの3分の2が中国内陸部に住んでいる。これは、世界の人口の9人に1人にあたる。また、中国の学齢期の子どもたちのうち、4分の3近くが農村部に住んでおり、そのうち高校を卒業するのは3分の1 に満たない。そして、農村部の子どもたちはすべての年齢において、あらゆる教育指標で、都市部の同年齢の子どもたちより成績が劣っているということがロゼールらの研究から明らかになった。都市部の勢いと成長の陰で、農村部の危機は拡大しつつあった。中国農村部はその巨大さゆえに、行き詰まれば中国だけでなく世界の成長を妨げる可能性もあった。

幸い中国には強力な政府の力があり、一旦方向性が決まれば問題解決のために大きな資金を動かすことができる。また、中国には意欲と能力を兼ね備えた研究者も大勢いて、そのなかには、ロゼールの学生や研究仲間も多かった。中国の研究者と政策担当者たちが効果的なプログラムについての正しい知識を持てば、大きな変化を起こして何百万人をも救える可能性があった。ロゼールにとっては中国農村部の人々が直面する本当の問題を解決する、インパクトのある新たな取り組みを始めるチャンスだった。

「中国は開発を研究する経済学者にとって、究極の実験室です。急速に発展しているので、変化を自分の目で見ることができます。しかも、資金もつくので他では測定できないこともここでは測定できる。それでエビデンスをつかんだら、大きな変革も可能になります」

実験経済学の手法を中国に応用する

2003 年に、MIT(マサチューセッツ工科大学)で、同大学と関係の深い3 人の開発経済学者、アビジット・バナジー、エスター・デュフロ、センディル・ムライナサンが、「貧困対策ラボ(Poverty Action Lab)」を立ち上げた。研究から生まれた手法を開発問題の解決に応用する先進的な組織で、現在の名称は、「アブドゥル・ラティフ・ジャミール貧困対策ラボ(Abdul Latif Jameel Poverty Action Lab, J-PAL)」となっている。バナジーとデュフロは革新的なアプローチ[ランダム化比較試験(RCT)を用いた開発支援介入の評価]が評価されて、のちにノーベル経済学賞を受賞した。

彼らの取り組みに触発されて、ロゼールはこれまでの長期にわたる中国での人脈や協力関係を活用し、スタンフォードに新しい研究グループを立ち上げた。中国農村部の開発問題の解決に、J-PALのようなアプローチをとるこの新たな取り組みが「農村部教育アクション・プログラム(REAP)」である。

J-PALのアプローチを中国農村部に応用するにあたっては課題があった。J-PALのモデルは、アメリカやヨーロッパの有名大学の研究者たちが、開発途上国の現地のNGO や調査会社と組んで、見込みのありそうな支援策を評価するものだった。しかし中国には、農村部の学校やクリニックに入ることを許可されているNGOや調査会社はほぼ存在せず、このモデルは活用できそうになかった。J-PALも、南アジアやラテンアメリカ、サハラ砂漠以南など、ありとあらゆる開発途上国で広範にプログラムを展開したが、中国だけは対象外だった。J-PALの参加者で、ミネソタ大学の応用経済学者、ポール・グルーは、ロゼールとも中国でプロジェクトを実施してきたが、彼はJ-PALとREAPの違いを次のように説明する。「REAPはJ-PAL が中国以外のさまざまな場所でやってきたことに修正を加え、中国の脆弱な農村のコミュニティで成果を出そうとしてきました」。

ここでチャンスを切り開くカギとなったのは、中国の大学だった。ロゼールは言う。「中国の大学教授は、教え子ととても強い結びつきを持っています。そして、その教え子の多くが、政府で働いています。この結びつきが、事態を前進させるのに役立つことがわかりました。教授たちはよい研究をしたい。行政官は状況を改善したい。両者はお互いを知っているので信頼関係がある。大学と連携するやいなや、私たちは突如として学校やクリニックに入って仕事ができるようになったのです」。

こうした連携とフォード財団から得られた立ち上げ資金をもとに、REAPは、2006年に最初の取り組みとして中国農村部の小学校の子どもたちの栄養摂取に関する調査を行った。当時のスタッフはロゼールとリサーチ・アシスタントの2人だけだった。今日では、REAPは中国各地の30の大学の教授とその教え子たちとパートナーシップを築いている。2006年以来、REAPはさまざまな介入策について70以上のエビデンス評価を実施した。

フィールドワークでのコラボレーション

開発経済学の教育を受けてきたロゼールやREAPのメンバーは、介入の評価方法やインパクトの測定方法についてはよく知っている。しかし、必ずしも支援策自体についての専門知識、たとえば、どんなアウトカム(成果)が重要であるかなどの知識を持っているとは限らない。栄養のプログラムには栄養士が必要であり、メンタルヘルスのプログラムには精神科医、コンピューターを使った学習プログラムであれば学習用のテクノロジーに詳しい専門家が必要になる。これが意味するところは、評価の設計や、どのアウトカムを見るかなどを決めるためには、外部から専門家を集めてこなければならないということだ。幸い、スタンフォード大学は専門家には事欠かないので、REAPは多くのプログラムでスタンフォードの教授たちの力を借りている。その一方で、さらに遠くのパートナーにも協力を求めることもある。

「2010年頃のカンファレンスで、スコット・ロゼールと初めて会いました」と、北アイルランドにあるクイーンズ大学ベルファストの眼科医、ネイサン・コンドンは言う。「彼がREAPのプログラムについて講演しているのを聞いて、近視の子どもたちにメガネを与えたときの効果を評価できるかたずねました。私たちはコーヒーを飲みながら雑談しました。それ以来、ずっと一緒に仕事をしています。視力と、それが学校教育においてどれだけ重要かに関して、他にはないような論文も発表しました」。

テーマごとに適切な専門家が必要であることに加えて、評価を実施するにはサポートスタッフも必要だ。ここでもパートナーとなる大学が重要になってくる。1つの研究に必要な標本は、数十、時には数百の学校や村々に及ぶ。中国のパートナーの教授たちの下には、国際的なプロジェクトに進んで参加を希望する学部生や大学院生がいる。教授が調査員のチームを編成し、REAPがアンケートの実施方法を教えると、各チームは地方に散っていき、対象となる地域でアンケート調査をしたり、支援策を実施したりする。やがて、特に能力のある学生や意欲のある学生、若手教員らが、複数の研究を率いるフィールドスタッフに成長していく。

2014年、河南省での学校訪問で、子どもたちと話をするスタンフォード大学REAPの創設者、スコット・ロゼール(右)。

「最初にREAPのプロジェクトに参加したのは、新人研究者の頃でした」とイェンイェン・リーは言う。リーは、その最初の数年、河南大学のフィールドワーク・マネジャーを務めた。「私はそれまで、インパクト評価なるものを見たことも、聞いたこともありませんでした。先輩がロゼール教授のプロジェクトに参加していて、調査をするのにフィールドスタッフが必要になったのです。私は都市部で生まれたのですが、国際的な調査活動を見てみたかったし、手伝ってもみたかった。私のいる大学ではこんなチャンスはめったにありません。私はその調査の手法や厳密さ、そして得られた成果を生かそうという意気込みに、大きな刺激を受けました」。

参加するもう1つのメリットは、国際的な学ジャーナル術誌で発表するチャンスだ。「教授にも学生にも、国際的な学術誌に掲載されるような研究のやり方をまったくわかっていない人が大勢います。REAPの研究への参加は、それを学ぶ素晴らしいチャンスとなっています」。こう話すのは、河南大学教授で教育学が専門のグゥロン・リー(李桂栄)だ。彼女はREAPの重要な協力者でもある。

フィールドワークや論文発表におけるこうしたコラボレーションは、パートナー大学とのネットワーク構築を後押ししてきた。REAPのネットワークはいまでは中国中央部と西部のほとんどの省をカバーし、北京や上海の一流大学も加わっている。2006年以来、REAPとその協力研究者たちは、中国の教育に関するインパクト評価研究の半分以上、健康と栄養に関するランダム化比較試験(RCT)の大部分に参加した。

論文と政策展開

REAPの研究者は学術誌などに頻繁に論文を発表しているが、REAPの第一の目標は、適切にターゲットを絞った息の長い政策が、調査対象地域となった農村以外にも広く成果をもたらすことだ。自らも学者であるロゼールは、読まれない論文の無益さについてはよく知っている。

「学生にこんなジョークをよく言います。私が大学を卒業するときに、印刷された自分の論文のページのあいだに100ドル札をはさんでおいた。何年も経ってから学校に戻って来て、図書館でその論文を見つけたので開いてみると、100ドル札はまだそこにあった。どれだけの人たちがその論文を読んだのか、わかるというものです」。ロゼールはさらに言う。「REAPの発足時から、私たちの仕事が確実に実際の人々に届くことを、心から願っていました。私たちがやっているのは応用研究ですが、『研究』より『応用』のほうに重点があります」。

REAPがエビデンス評価を終えるたびに、中国の同僚たちが政策提言をまとめる。彼らは問題の本質と調査で明らかになったことを説明し、具体的な政策を提案する。この提言はその後、中国政府の最高意思決定機関である国務院に届く。REAPが立ち上がってから、グループの協力者や参加者たちは中国政府に30以上の政策提言を提出した。そのうち20以上が、首相と副首相級のリーダーに承認された。承認後に政策提言は関連する省庁、たいていは教育部か衛生部(REAPの重点分野)において政策形成と実施に組み込まれる。REAPは省や県のレベルでも変革を実現するため、地方や地域のパートナーとの関係も活用している。地域レベルでの成功が、より大きな政策展開の第一歩となることが多い。

解決志向の科学的手法に基づいた研究と、国や地域のパートナーの積極的な関与が組み合わさることで、中国内陸部の農村に意義のある、測定可能なインパクトがもたらされている。

REAPの政策提言の初期の成功例は、学校での栄養問題に関するものが中心だった。

2006年に行った初期の調査の1つから、中国農村部の子どもたちのあいだで、鉄欠乏性貧血の割合が約30%と驚くほど高いことがわかった。それから数年かけて、中国西部と中部の7 つの省の小学生、合計6万人を対象とした調査を実施し、その結果、この貧血症状がきわめて広範に見られることがわかった。

当時、中国では鉄欠乏性貧血がもたらす問題について知られていないなかで、REAPはこの研究を通じて、マルチビタミン剤や鉄分の多い昼食を与えるといったシンプルな栄養面での支援策を提供することができた。

中国政府もこの発見に注目したが、強い関心を持つようになったのは、重要な因果関係が認められてからだ。栄養面での支援策によって貧血症状から脱した子どもたちは、学校での勉強でも標準テストでも、成績が向上したのである。この調査結果を中国政府の上層部に提出し、地域や省の教育担当者と数えきれないほどの話し合いを重ねた結果、中国政府は予算200億ドル規模の10年間に及ぶ学校栄養プログラムを立ち上げた。その内容は2500万人以上の貧しい家庭の生徒たちに、毎日、無料で昼食を提供し続けるというものだ。これはおそらく、世界最大の学校給食プログラムだと思われる。

「初期の頃は、調査結果が非常にはっきりしていたこの問題に多くの時間とエネルギーを費やしました」。こう話すのは、REAPの協力者であるレンフー・ルオ(羅仁福)だ。当時は北京にある中国農業科学院の研究者で、現在は北京大学の教授である。「政策が実際に展開されていくのを見ると、研究が認められたと強く感じます。誰かが話を聞いてくれたということです」。

研究と若手の育成

REAPのプロジェクトの流れはおおよそ決まっている。まず、数カ月かけて慎重に調査計画を立て、実施のための準備をし、地域の関係者と話をし、実際の環境ですべてのアンケートを試行するなどして、調査用の文書の準備をする。続いて、ボランティア(主に、中国の大学生)を何時間もかけてトレーニングし、大学院生のリーダーの指示の下で調査が実施できるようにする。REAPは調査する地域を選び、その地域に含まれるすべての県のリストを入手して、それらの県の中からランダムに世帯を選ぶ。その後、調査員の学生数十人が小さなバンに分乗して、山を越え、川を渡り、悪路を通って、抽出された世帯を訪問する。最も訪問しにくい場所にこそ貧困が残っており、こうした調査をして初めて、中国の農村部で何が起こっているのかを真に理解することができるのだ。

REAPの成功の中心にあるのは、スタンフォード大学の研究者による中核チームと、アメリカやヨーロッパ、中国の大学との、長期的かつ相互にメリットのあるコラボレーションだ。一方で、REAPはプラット
フォームでもあり、中国のほぼすべての省と、アメリカ、ヨーロッパのフィールドリサーチャーのあいだで、新しい連携や協働を可能にするものでもある。

こうしたコラボレーションは、すべての立場の人にメリットがある。まず、世界最高レベルの社会科学者たちは、自らのイノベーション仮説を象牙の塔から持ち出して、経験豊かなフィールドリサーチャーとともに、現実の世界で試すことができる。また、このプラットフォームは、中国の若手研究者たちに、専門家とともに仕事をし、成功につながるスキルを学ぶチャンスを提供する。さらに、調査資金、データ、論文の著者資格(オーサーシップ)などあらゆるものが、全パートナーのあいだでシェアされる。

REAPの若手研究者は、貴重な指導を受けるチャンスがある。中国側パートナーの研究員は、ほぼ全員がスタンフォード大学かアメリカにある別のパートナー大学の客員研究員となり、そこで論文の指導を受けたり、講義を受講したり、上級の研究者から助言を受けたりできる。このパートナーシップのおかげで、REAPの若手研究者は、世界のあらゆる場所において、それぞれの研究分野で突出して多くの論文を発表している。

「REAPに参加してから、中国農村部の開発におけるこうした調査の意義を認識するようになりました。それ以来、自分のキャリアと人生を捧げています」と、REAPの協力者であるチァンファン・リウ(劉承芳)は言う。彼女は修士課程の学生だったときに初めてREAPに参加し、その後、アメリカに渡ってカリフォルニア大学デービス校で博士課程を修了した。それから中国に戻り、北京の中国科学院で研究を続け、現在は北京大学の農業経済学の教授である。

中国の若手研究者たちは、この分野の代表的な学会である農業応用経済学会(Agricultural and Applied Economics Association, AAEA)が主催するカンファレンスに積極的に参加している。AAEAの中国人メンバーは、過去10年で11人から50人へと4倍以上に増えた。同じ10年で、アメリカを拠点とする中国出身の研究者も、ほぼ倍増している。ロゼールは積極的に関与し、中国研究者グループの存在感を高めている。

REAPは学生たちをボランティアとしても育ててきた。REAP が中国の大学と協働してフィールドに送り込んだ何万人もの学生たちは、最先端の社会科学研究に参加し、質の高いデータを集める方法を学んでいる。複数のプロジェクトに参加した学生は、小規模な学生チームを率いるという経験を通じてリーダーシップのスキルを身に付ける。そのスキルはその後のどんなキャリアでも生かすことが可能だ。

眼鏡販売の社会的企業

REAPにとって規模の拡大は、必ずしも大規模な政策転換に限らない。もう1つのイノベーションの道筋として見えてきたのは、社会的企業の活動を通じてのことだった。

REAPが2011年に始めた研究で取り組んだのは、中国農村部の多くの学校を悩ませていた未矯正近視の問題だ。すでに、J-PAL参加者のポール・グルーと、ロゼールが博士課程の指導をした香港科技大学教授のアルバート・パークが、中国北西部の小さな地域で、近視が高い割合で見られることを報告していた。REAPは中国とアメリカの眼科医たちと組み、より詳しい調査に乗り出して現場で何が起きているかを分析した。その結果わかったのは、小学3年生から中学3年生までの3分の1近くの生徒が、学習に差し支えるほど重度の近視であることだ。そして近視の生徒の大半が、眼鏡を持っておらず、近視であると自覚していなかった。

REAPはこの地域で大規模なRCTを繰り返した。それによって明らかになったのは、近視の子どもに眼鏡を与えると、学習成果がただちに、そして劇的に向上し、学業に関する不安も減少するということだ。全員が学習により集中できるようになったクラスでは、近視でない生徒たちの学習成果までもが向上した。

生徒の視力を調べて眼鏡を提供するという、一見シンプルな解決方法も、実際にやってみるときわめて複雑だ。その原因としては、なかなか医師と接触できないこと、文化的な慣習、両親の誤解、組織間の協力関係の欠如、そしてコストなどがあった。中国のリーダーたちは、近視は大きな問題だと公に認識してはいるが、それを解決するための大規模な政策はいまだ展開されていない。

REAPの視力改善支援によって学校で視力検査を受けたあと、近視と診断された子どもたちが眼鏡を試している。

こうした状況のなかでREAPは手をこまねいてはいなかった。視力に関する調査を展開しながら、REAPのチームは農村部の学校向けの眼鏡の調達に熟達していった。その過程で、視力の問題に取り組む国際的な非営利団体、OneSightから資金を得て、Smart Focusという社会的企業を立ち上げた。同社は、農村部の視力改善に関するサービスを支援している。たとえば教室で子どもたちの視力を調べられるよう教師をトレーニングし、必要に応じて子どもに眼鏡を提供する。その場合の請求は家族の支払い能力を超えない範囲で行われる。

Smart Focusは、設立以来10年近くのあいだに数百万人の子どもの視力を調べ、20万本以上の眼鏡を提供した。未矯正の近視は中国農村部の抱える最大の課題の1 つだが、REAPが取り組みを始めてからは国レベルの問題意識も高まっている。2018年には、中国共産党総書記の習近平が、近視は国家として取り組むべき問題であると述べ、政府内に解決策を提案するためのハイレベルのタスクフォースが結成された。

乳幼児に重点を置く

しかし、REAPの教育に関する取り組みが、すべて同じように成功しているわけではない。前述の初期の成功が顕著であった一方で、REAPはほかにも農村部の小学生の学習成果を向上させるための支援策を試みてきたが、まったく効果がないものもあった。

たとえば、教師に対するさまざまな研修や、教師の報酬に関する新しいインセンティブなどだ。ほかにもいくらか効果が生じた支援策はあったものの、都市部の生徒との差を埋めるには遠く及ばなかった。REAPはまた、2つの中国最大規模の教育プログラムのエビデンス評価を行った。対象となったのは教師の職能開発プログラムと職業教育プログラムである。ともに巨額の費用をかけ、農村部の子どもたちの教育機会を拡大することを狙ったものだが、子どもの学習成果の向上を示す結果は得られなかった。

なぜ、こうしたアイデアやプログラムは失敗してしまうのだろうか。

解決の手掛かりは、エモリー大学の栄養学の専門家、レイナルド・マートレルがREAPの貧血に関する取り組みを知ったときに見えてきた。彼はREAPのチームに、小学生の栄養状態を改善するのはよいことだが、支援を始めるのに最も適した時期はもっと早い乳幼児のときだと伝えた。発達中の脳の回路の多くが、生後1000 日までのあいだに固定化されるからだ。シカゴ大学の経済学者でノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・ヘックマンも、長期的な変化を追った研究で、乳幼児期の栄養とケアが不十分だと、その後の人生にも悪影響を与えるという研究結果を示した。

「これも大きな気づきとなりました」とロゼールは言う。

「それで、乳幼児の認知能力テストを始めたのです。結果は明らかでした。農村の乳幼児は大きく後れをとっていたのです。全体の40%で認知能力に後れが見られました。つまり、スタートに着く前から差がついてしまっていたとも言えます」。

栄養面での支援を行うと認知能力は向上したものの、農村部の乳幼児は都市部の乳幼児に比べるとずっと後れていることが、何度かの調査を通じてわかった。さらに調べていくと、問題はもっと根本的なものであることが見えてきた。農村部の乳幼児には刺激が欠けており、それがいくら栄養面を改善しても補えないほどの、認知能力の後れにつながっていたのだ。

「農村部の親たちも、こよなく子どもを愛していて、我が子の未来をよくするためには何だって与えようと思っています」とチー・ジァンは言う。ジァンは、乳幼児の認知能力に関するREAPのいくつもの研究でフィールドマネジャーを務めた。「しかし、彼らは仕事で遠くの町に出稼ぎに行っていたり、単純に、赤ちゃんに話しかけたり、歌ったりするのが大切だとは知らなかったりします」。

この重要な発見以来、REAPは乳幼児期の子どもの発達(early childhood development, ECD)と、それを中国全土で向上させる方法についての理解を深めていった。中国農村部の乳幼児のあいだで一貫して発達の後れが見られることと、その要因をいち早く指摘した研究の一部はREAPによるものだ。REAPは、家庭での会話の量や乳幼児の社会的な交流など、家庭の言語環境を改善することによって認知能力の後れを改善する方法を設計し、評価し、改善してきた。そして現在は、大規模展開できる健康と栄養のプログラムを、実績のある親へのトレーニングプログラムと統合しようとしている。

実験と評価の実施や進め方でも、REAPの伝統である厳密さと粘り強さが追求された。チームは家庭でのトレーニングプログラムから始めた。実際に運営するのはカリキュラムの進め方の指導を受けた地域の医療関係者だ。カリキュラムは成功している国際的なプログラムから借用し、それをパートナー(中国西部の2つの大学の児童心理学者と小児科医)と協力して、中国農村部に合うようにREAPが改編した。その後、乳幼児の発育面で重要な成果が見られるようになると、REAPは既存の家庭プログラムでは不十分な部分を補うため、独自の支援策をつくり評価した。そしてその経験と発見に基づいて、ECD関連の財団やNGOとの取り組みを始めた。そこでは、親へのトレーニングプログラムに新たに4つのバージョンを追加し、それを評価して、大規模展開できる最適なプログラムの設計を試みた。

この分野でのREAPの取り組みは、中国全体での大きな政策転換につながった。REAPのECD分野での発見を含む研究報告が中国国務院に提示された結果、衛生部が0~3歳児の教育を管轄するよう指示が出され、衛生部は2019年に、0~3歳児向けの教育システムを国全体に構築するという文書を発表した。

それ以前は、中国の最も幼い子どもたちは家族だけが関与する領域と考えられ、ワクチン接種と基本的な医療を除いては、政府の政策や機関が対象とすることはなかった。REAPは中国全体で子どもの発達の遅れが高い確率で見られることを明らかにすると、国家衛生健康委員会(NHC)[衛生部が再編されてできた組織]のエグゼクティブリーダー・トレーニングセンターと組んで、包括的な親向けのカリキュラムを開発した。その内容は幼い子どもの発達を促すために行うインタラクティブな活動を中心としている。

NHCはこのカリキュラムを推奨し、中国政府もこれをECDの公式プログラムとして採用した。さらに、REAP がカリキュラムを提供するために立ち上げたサイトも、中国国務院から国の「パイロットプログラム」として認定され、政府による長期の投資や改良が見込まれている。REAPはまた、「1000日計画(1000 Day Initiative)」にも関わっている。このイニシアチブの下で政府組織やNGOなど数百の組織が非公式に集まり、中国農村部のECDの問題に、実証済みのアプローチを活用したり、新しい解決方法を模索したりしている。

誰が資金を提供しているか

支援策と研究方法の複雑さにもよるが、REAPのインパクト評価の費用は10万ドル以上になることもある。この金額には、旅費や、契約事業者、学生への支払い、データ収集ツールや技術、機材、消耗品費、輸送費、参加報酬、調査員やスタッフへの報酬など、さまざまな費用が含まれている。この費用をREAPはどうやって賄っているのか。

初期においては、資金の大半は研究助成金と、企業の社会的責任を推進する組織からのものだった。しかし、徐々に資金の調達先が変わっていった。この変化を促した要因の1つは、従来からの資金提供者が、中国は上位中所得国で、経済規模は世界で第2位であり、世界のそれ以外の国ほどお金を必要としないのではないかと見るようになったことだ。2010年代に入った頃から、開発系の国際的な研究助成金の多くが、中国のプロジェクトを避けるようになった。アメリカ連邦政府の助成金提供団体も、二国間支援機関にも同様の傾向が見られた。国際的な大手フィランソロピーのほぼすべてが、中国での活動への寄付を停止した。中国国内にも確立されたフィランソロピーのコミュニティがあるが、資金力のあるアメリカの大学のプログラムに資金を提供することはまずない。

近年、REAPを支える資金の大半は、拡大する個人投資家層から来ている。主に、アメリカ、中国本土、香港、台湾、シンガポールの中国人コミュニティのビジネスパーソンで、中国の貧困削減と実験的なアプローチに関心を持つ人たちだ。REAPとスタンフォード大学のつながりや、スタンフォード大学卒業生のネットワークも、資金調達の間口を広げるのに役立っている。卒業生のなかには、中国に個人的、家族的なつながりや、ビジネス上のつながりを持ち、脆弱なコミュニティによい変化を起こしたいと考えている人が大勢いる。REAPはこうした個人との関わり合いによって、大半の資金を賄っている。

政治とパンデミックの影響

ここ数年、アメリカと中国の外交関係は急速に冷え込み、新型コロナウイルスのパンデミックでさらに悪化した。こうした展開はREAPでも懸念を引き起こした。REAPは両国の研究者のコラボレーションあってこその存在だからだ。

REAPは貧しい農村部の子どもたちのニーズという、あまり論争が生じないテーマにフォーカスすることで、デリケートな問題をうまく避けてきた。これまでのところ、REAPの取り組みには両国政府からの大きな妨害はない。

「REAPはアメリカでも中国でも、誰も嫌な顔をしない問題に取り組むようにしています」とロゼールは言う。農村部の生活改善においてどのような介入が効果的なのかという知見の蓄積に貢献してきたREAPの取り組みの効果は、中国農村部だけでなく、世界中に拡散している。ワシントンDCの国際食糧政策研究所(International Food Policy Research Institute, IFPRI) のディレクターであるジョアン・スウィネンは言う。「私たちは何年も、REAPの取り組みを見てきました。新しいコンセプトを試し、他のグループの発見を検証し、子どもの発達についての議論を実のあるものにするには、こんなチームが必要なのです。彼らのインパクトは中国国内にとどまりません」。

問題の複雑さは増していく一方で、それに対処するのに必要なツールや材料も国境を越えるようになった。段階的な調査でも革新的な研究でも新たな発見には分析の正確さが不可欠だが、それには大量のデータと、さまざまな領域の専門性の新たな融合が必要だ。となると複数の国のグループが協働する必要がしばしば生じる。

REAPの取り組みはこの点において象徴的だ。現地に生じた影響も、同グループが発表した多くの論文も、コラボレーションなしには実現しなかった。

ロゼールは言う。「たった1 つのプロジェクト評価でも、フィールドマネジャーからデータアナリストまで、あらゆる種類の専門家が関係します。だから、学術論文に名を連ねる著者の数は増えこそすれ、減りはしないのです」。

REAPの支援策で提供された栄養に配慮した食事のパッケージから、ゆで卵を食べる子どもたち。

チームのコラボレーションがなければ、何ごともうまく進まない。ロゼールは続ける。「つまり、こういうことです。もしコラボレーションを減らしたら、生活改善のための知識の拡大も、先延ばしとなるのです。私たちは国際的なコラボレーション、特にアメリカと中国のコラボレーションが、知識の創造と生活の改善を大きく促進するということを示したいと思っています。これを妨げるのは非常に近視眼的だと思います」。

REAPはこれまで、変化の激しい環境のなかでうまく活動してきた。しかし、パンデミックの影響は避けられなかった。2020年2月、新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、REAPの成功に不可欠なフィールドワークは、当面、実施できないように思われた。しかし、数カ月で中国は何とかパンデミックから復活し、小康状態を保っている。

一方で、アメリカや他の国々で感染者数の拡大が始まった。パンデミック以前には、アメリカを拠点とするREAPのスタッフは1年間に4~5回、中国を訪問していた。フィールドワークの監督やカンファレンスへの出席、指導、機会の探索、協力関係をあたためることなどが、その目的だった。そのどれもが、パンデミックのあいだは不可能であるように思われた。

しかし、2020年の夏には中国は「通常」に戻り、REAPはその勢いを失わずにすんだ。協力者たちも、活動に戻りたいと願っていた。世界ではオンライン会議が多くの業界で一般的になり、REAPと中心的な協力者たちも、信頼とノウハウの共有をベースに、ZoomやWeChat(微信)を通じて取り組みを続けた。2020年の夏以来の1年間で、REAPは5つの大きなプロジェクトを立ち上げ、発表した論文数は通常の1年間の2倍近くとなった。

2021年の後半にはアメリカが徐々にパンデミックから立ち直りつつあり、REAPのスタッフは間違いなく、中国への頻繁な渡航を再開できないか探るようになるはずだ。新たなパートナーシップの締結や既存の取り組みの拡大は、その行方次第だろう。しかし、1年前と比べると、REAPも協力者も窮地を脱したように思われる[本記事がアメリカ版に掲載されたのは2021年秋]。

今後の展望

パンデミックから立ち直り、複数のプロジェクトと新しいスタッフを抱えたREAPは好調だ。ロゼールは、同僚で大学院での教え子でもあり、現在はスタンフォード大学経済政策研究所のシニアフェローであるホンビン・リーとともに、データドリブンな中国研究の拠点となるより大規模なスタンフォード大学中国経済センター(Stanford Center on China’s Economy and Institutions, SCCEI “スカイ” )を立ち上げた。REAPは現在、そのセンターを代表する取り組みとなっている。

リーは言う。「REAPは長いあいだ経験主義の考え方を大切にしてきましたが、このアプローチは中国農村部の開発以外にも応用できると、ロゼールと私は考えています。全体としての中国を理解するのにも役立ちます。中国はあまりに重要な国で、誤解や思い込みで片づけられないのです」。

SCCEIは、データに重点を置いている中国研究者をスタンフォード全体から集め、そうした研究をさらに促進するプラットフォームとなることにより、中国に関する議論においてデータに基づく分析の役割が拡大することを目指している。

新しいセンターを率いるという新たな課題への挑戦のなかで、ロゼールはREAPの未来もしっかりと見据えている。「私たちは、REAPが進み続けるためのインフラを築くことができました。いまは信頼できる人たちに任せています」。

REAPについてのコメント提供に関し、ポール・グルー、チー・ジァン、グゥロン・リー、イェンイェン・リー、レンフー・ルオ、チァンファン・リウに、また、全般的な指導に関してマシュー・ボズウェルに感謝する。中国の国家自然科学基金(No.71772028)、および億方公益基金会の支援にも感謝する。

【翻訳】東方雅美
【原題】Bringing Evidence-Based Policy Change to Rural China(Stanford Social Innovation Review, Fall 2021)
【写真提供】Stanford REAP

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