コレクティブ・インパクトの新潮流と社会実装
Vol.04
リーダーは女性のほうが好ましいと考える有権者でさえ、女性候補者が「選挙に勝てるか」が心配で支持を控えることがある。※本稿は、SSIR Japan 編『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー 日本版 03 科学技術とインクルージョン』より転載したものです。ダニエラ・ブレイ Daniela Blei2020年、アメリカ大統領選挙に向けた民主党の候補者指名争いに4人の女性が名乗りを上げた。予備選が始まり候補者が絞られていくにつれ、世論調査が明らかにしたのは、多くの民主党支持の有権者は政治的な姿勢や政策よりも、その候補者が選挙に勝てるかどうか(エレクタビリティ)を重視しているということだった。有権者にとって候補者を決めることは何よりもまず、本選挙でドナルド・トランプに勝てる可能性が最も高い人物を決めることを意味した。有権者も評論家も、上院議員のエリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ州)、カマラ・ハリス(カリフォルニア州)、エイミー・クロブシャー(ミネソタ州)、カーステン・ギリブランド(ニューヨーク州)が勝利する見込みを他の男性候補者と比較し、女性がアメリカ大統領に選ばれるために十分な支持を集められるかという問いを投げかけた。候補者の性別と、有権者から「選挙に勝てそう」と思われることの関係性を調査するため、クリスチャンヌ・コーベットとジャン・G・ヴォールケル(両者ともスタンフォード大学社会学部の博士課程に在籍)は、スタンフォード大学VMウェア・ウィメンズ・リーダーシップ・イノベーション・ラボに所属するマリアンヌ・クーパー(社会学者)、スタンフォード大学教授のロブ・ウィラー(社会学)とチームを組んだ。彼らは2020年の民主党予備選挙の期間中、集団思考の1つである「実利的バイアス(pragmatic bias)」が、アメリカの有権者の行動や選挙結果に果たす役割に着目し、6つの実験を行った。そして研究結果を発表した新たな論文のなかで、このバイアスが、有権者が本来なら支持するはずの女性候補者への投票を妨げる、重要な役割を果たしているという見解を明らかにした。ただ、これは修正可能でもあるという。
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