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なぜ「地域の声を聞く」だけではインパクトが生まれないのか

なぜ「地域の声を聞く」だけではインパクトが生まれないのか

多くの取り組みが、現地コミュニティの「声」を大切に聞いている。しかし、コミュニティの「主導権」を強化し、リーダーシップを引き出している取り組みはどれだけあるだろうか?
より公正な社会を目指すためにはまず、パートナーシップ間の不均衡な力関係に目を向ける必要がある。

バイロン・P・ホワイト|ジェニファー・ブラッツ|マーク・L・ジョセフ

2006年8月のある晴れた日、オハイオ州とケンタッキー州をつなぐ橋の上という異例の場所で、行政や企業などさまざまな組織のリーダーが集まるイベントが開催された。場所はオハイオ州に架かる歩行者専用のニューポート・サウスバンク橋、通称「パープル・ピープル・ブリッジ」だ。

この会合は、ストライブ:シンシナティ/ノーザンケンタッキー(Strive: Cincinnati/Northern Kentucky、現ストライブ・パートナーシップ)と名付けられた協働イニシアチブのキックオフイベントだった。この新たなパートナーシップの目的は、都市近郊の子どもたちに「ゆりかごから就業まで」質の高い教育を提供することだ。橋の北側のオハイオ州シンシナティからは学区の主要人物、大学の学長、財団の事務局長、企業経営者、地元議員、非営利団体のリーダーたちが集まり、対岸の南側のケンタッキー州からもコビントンやニューポートなど、都市近郊コミュニティの代表者たちがやってきて、両者が橋の真ん中で出会ったのである。

2つの州から集まった人々は、共通の枠組みに沿って活動することを宣言した。この取り組みは後に「コレクティブ・インパクト」の事例として取り上げられた。コレクティブ・インパクトとは、異なるセクターから主要な関係者が集まり、特定の社会課題の解決を目指して共通のアジェンダを策定し、それに対して長期的にコミットし続けられるようにする戦略のことだ1

ストライブ・パートナーシップの生み出したインパクトは現在も続いている。この取り組みは、ジョン・カニアとマーク・クラマーが2011年に発表した論文「コレクティブ・インパクト」で初めて取り上げられて以来、SSIRで少なくとも38本の記事に登場している2。設立時のリーダー数名は、自分たちの知見を全国に広げるべく非営利団体ストライブ・トゥギャザー(StriveTogether)を2011年に立ち上げた。同団体は今や全国で70のコミュニティを支援しており、それぞれの地域でセクター横断型のパートナーシップが形成され、累計1050万人の子どもたちに対する教育支援を行っている。

本稿の共著者のうち2人が、2006年の橋上でのキックオフイベントに参加した。当時、バイロン・ホワイト(現ストライブ・パートナーシップの事務局長)はザビエル大学のコミュニティエンゲージメント担当の准バイスプレジデントであり、ジェニファー・ブラッツ(現ストライブ・トゥギャザーのプレジデント兼CEO)はストライブ・パートナーシップの運営担当ディレクターだった。当時から思えばよくぞここまで来たという感じだ。

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翻訳者

  • 友納仁子
  • 考えてみる、調べてみる、ためしてみる etc.
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