特定の1つのセクターが社会を牛耳ると、社会のバランスが失われて、人々が苦しみを味わう結果になる。共産主義体制の下で政府セクターが社会を支配したときもそうだったし、資本主義の名の下で民間セクターが社会を支配している今日もそのようなことが起きている。社会が健全であり続けるためには、敬意を集める政府セクター、責任感をもった民間セクター、そして強靭な多元セクターが欠かせない。この3つ目のセクターを「非営利セクター」や「第三セクター」などといった不適切な呼び名ではなく、「多元セクター」と呼ぶことにより、このセクターをほかの二つのセクターと対等のしかるべき地位に位置づけることが可能になる。そうすれば、社会のバランスを取り戻すうえでこのセクターだけが果たせる役割を私たちも正当に評価できるようになるだろう。
セクター
ソーシャルアントレプレナーシップを定義する
社会的起業、社会奉仕、社会運動の違いとは
投資先の行動を変えたければ「株売却」より「意思表明」を
シカゴ大学ブース経営大学院教授のルイジ・ジンガレス(財政学)は、コーポレートガバナンスが専門で、現在の研究テーマは「投資家・顧客・従業員が、企業の経営陣に対して、自身の価値観や優先順位をどのように主張しているか」である。
市民主導の地域創生を牽引する4種のリーダーシップ:雲南市のまちづくりを支える「土・火・水・風」の人
日本のなかでも少子高齢化がいち早く進み国の25年先をいく「課題先進地」といわれてきた島根県雲南市。その地はいま、「課題解決先進地」として大きな注目を集め、移住者も後を絶たない。なぜ雲南市のまちづくりが注目を浴びるのか。魅力的で持続可能なまちづくりを可能にする4種のリーダーシップに着目し、考察する。
日本で最も自殺の少ない町から学ぶ都市のデザイン:「路地」と「ベンチ」が援助希求行動を促す
徳島県南端にある太平洋に面した海部町(現海陽町)は日本で自殺率が最も低いことで知られている。この町を対象とした研究から自殺の危険を抑制するコミュニティの特性が見えてきた。それらの社会実装に向けた試みを紹介する。
起業家に無期限で伴走支援する「ペーサー」という存在
新興国では、「ペーサー」と呼ばれる起業支援組織が起業家に長期にわたってさまざまなサービスを提供することにより、目標達成を後押ししている。そうしたペーサーモデルの基本的な仕組みから起業家が事業を成長させる過程をどのように支援すればいいのかが見えてくる。
政治にもイノベーションが必要だ
市民社会は数十年にわたり社会問題に取り組みながらも意図的に政治との直接的な関与を避けてきた。しかし、ポリティカルイノベーションという新たな動きがこの伝統からソーシャルイノベーションを解放し、民主主義を再活性化しようとしている。
Editor’s Note:コミュニティの可能性を諦めない
今号はコミュニティ特集です。社会課題の現場としてのコミュニティと、その課題解決のリソースとしてのコミュニティという2つの側面に光を当てました。
「奪い合う関係」を「与え合う関係」に変える仕組みとは
「応援する文化」をつくる新しいお金
「やっかいな問題」の解き方としてのネットワーク:災害復興の鍵を握る「ハブ」は何をしているのか
災害、環境破壊、貧困など現代社会には解決が難しい複雑な問題があふれている。私たちの社会は、こうした「やっかいな問題」にアプローチするために、人と人とが紡ぎ出す社会ネットワークを活用している。本稿では、東日本大震災へのサードセクターの対応の事例から、「問題の解き方としてのネットワーク」を可視化し、そのメカニズムの特性や扱い方を理解する。