「社会が変わる」と言っても、どれか1つの解決策では実現できず、複雑なシステム全体を変化させる必要がある。それは、ビジョンや解決策を示して先頭に立つ、英雄的なリーダーが解決に挑むのでは限界がある。問題に関わる多くの人々を支援し、「自分も変わるべきシステムの一部なのだ」と気づかせ、それぞれが変化を起こせるように導く存在―すなわち、システムリーダーが必要だ。システムリーダーシップの本質とは何か? どうすればシステムリーダーになれるのだろうか? 現在さまざまな場所で生まれつつある、これからの時代に欠かせないリーダーのあり方に迫る。
解決手法
あなたのエンドゲームは何か?: 「本当に目指したい姿」を見出す
あなたが最終的に叶えたいビジョンに、今の努力は本当につながっているか―? インパクトを実現するために、組織の規模を拡大すべきだと考えるリーダーたちは多いが、必ずしもそれが最適解になるとは限らない。インパクトを最大化するための組織と事業の形=「エンドゲーム」には多様な選択肢がありうるのだ。ここでは、数多くの事例から導かれた6つのエンドゲームを提案し、組織と事業の目指すべき姿を見つけるための指針を示す。
コレクティブ・インパクト : 個別の努力を越えて今こそ新しい未来をつくり出す
社会を変えるためには「コラボレーション」が必要だ―これは何十年も前から言われてきたことであり、さまざまな形のコラボレーションが模索されてきたが、多くの成果は出ていない。2011年に発表された本論文「コレクティブ・インパクト」は、従来の方法論と異なるコンセプトを提示し、大きなインパクトをもたらすアプローチとして反響を呼んだ。その後、各国でアクションが生まれ、毎年国際カンファレンスも開催されるなど、グローバルな実践と学習が続いている。複雑な問題の解決に向けて、個別の活動をそれぞれ追求するのでもなく、あるいは全員が同じ”集団的”な行動をとるのでもなく、互いの違いを活かしながら、共通の目標に向かって”集合的”なインパクトを生み出す5つの原則とは何か。
ソーシャルイノベーションの再発見: 誰が未来をつくるのか
さあ、これからの「社会の変え方」を探す旅に出よう。今や、困難な問題を解決するために、いろんな人がいろんなチャレンジを行い、知見の探求も進んでいる。「ソーシャルイノベーション」の定義や解釈には幅がある。これまで注目された「社会起業家」や「社会的企業」と何が違うのか? 私たち1人ひとりが、どのように関わるのか? また実践に役立つ考え方とは何か? 具体的な方法論を探求する前に、改めて「ソーシャルイノベーションとは何か」について考えてみたい。
「わたし」から物語を始めよう
この本は、『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー』(SSIR)という、米国スタンフォード大学のビジネススクールから生まれた雑誌の数々の記事から、そのヒントとなる10本の論文を集めたものです。
社会を動かすカーブカット効果: マイノリティへの小さな解決策から生まれる大きな変化
弱い立場に置かれている人々に特化した施策は、全体の利益を損なうわけではない。むしろ、マイノリティのための解決策が、社会と経済の両方に思わぬ波及効果を生み出すのだ。市民のゲリラ的なアクションがなぜ政策として国全体に広がったのか、それが政策形成における「公正性」と「公平性」にどう関わるのかを考える。
デザイン思考 × ソーシャルイノベーション: 善意を空回りさせず、成果を生み出す方法
人々の問題を解決するためにサービスを設計したのに、ユーザーから受け入れられない―この「善意の空回り」をどうすれば避けられるだろう? 「デザイン思考」は、丁寧な観察と深い洞察をもとにプロトタイピングを繰り返し、顧客の真のニーズに応える解決策を生み出す。複雑なニーズを紐解くソーシャルイノベーション分野で真価を発揮する、この方法論の活用法を示す。
コラボレーションで生じる「わかりあえなさ」とどう向き合うか
互いの共通点と相違点を把握する
決定権限がある側と一般市民の「パワーの差」をいかに解消するか
これからの社会運動のあり方を考える
70~80点の短期的な成果を長期的なシステム変化につなぐには
利害が一致しなくてもともに前進する方法